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別紙

戦略的国際科学技術協力推進事業「日本-中国(NSFC)研究交流」
平成21年度採択課題一覧

研究交流課題 日本側
研究代表者
所属・役職 研究交流課題概要
中国側
研究代表者
風の影響を受けやすい社会基盤の風災害リスク低減戦略 田村 幸雄 東京工芸大学
工学部 建築学科
教授
 本研究交流は、日本と中国の風工学の研究グループが協力して、台風などの強風による社会基盤の風災害リスクの低減を目指すものである。
 具体的には、
  1. (1) 設計風速の評価法
  2. (2) 各種構造物のユニバーサルな等価静的風荷重
  3. (3) 電子データベースに基づく不整形な高層建築物の風荷重算定法
  4. (4) 長大橋の風荷重算定法
  5. (5) 大スパン屋根の風荷重算定法について検討する。
 日本側は主として(2)、(3)を分担し、中国側は主として(1)、(4)、(5)を分担する。これらの問題に2ヵ国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、日中の風工学研究者間のネットワークをより強固なものとし、今後の、アジア地域ひいては全球的な風工学研究の発展を促し、安心、安全な社会の実現につながることが期待される。
ゲ・ヤオジュン 同済大学
土木工程学院
橋梁工学科
教授
都市における超高層建物の耐震性評価および地震被害抑制技術に関する研究 笠井 和彦 東京工業大学
建築物理研究センター
教授
 日本や中国で都市化とともにますます建設されている超高層建物が地震時に被害をうけた場合、深刻な事態となることは明らかである。大破または崩壊という大惨事に至らなくても、沢山の人がその中で活動している超高層建物の機能が停止すれば、大変な問題となる。
 本研究は、極大地震に対しても超高層建物を無損傷に保つ技術を検討する。日本側は、実績・研究共に世界で群を抜く日本の制振や免震などの先端技術の効率的な適用法を検討し、主に主架構が鉄骨構造である場合を考慮する。中国側は、世界の上位15棟の超高層建築物のうち8棟という中国の実績や現実的な知見を生かし、主架構が鉄筋コンクリートの場合を検討する。
 2ヵ国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、両国の超高層建物を地震から守り、多くの人命や社会経済・環境の保護につながることが期待される。
ル・シリン 同済大学
土木工程学院
教授
橋梁構造物の大地震被害予測技術の高度化と制震技術の開発 宇佐美 勉 名城大学
理工学部
教授
 本研究交流は動的挙動が複雑な橋梁構造物の激震時挙動、破壊に至るまでの過程などを明らかにしたうえで、橋梁構造物の耐震性能設計法および損傷制御設計法を確立し、巨大地震による社会基盤施設への影響力の評価ならびに低減に対する基礎的データの蓄積を目指す。具体的には、日本側は地震動が複数回作用したときの影響などを調べ、橋梁構造物の累積損傷と崩壊メカニズムを解明すると共に、耐震性向上策の有力な手段である制震ダンパーの高機能に関する研究および橋梁構造物の損傷制御(制震)設計と性能照査型耐震設計手法の開発を分担する。中国側は橋梁構造物の損傷と崩壊メカニズムに及ぼす多方向・多点入力地震動、地盤-基礎-構造物の相互作用および水-橋脚の動的相互作用の影響を重点的に調べ橋梁構造物の非線形動的解析手法の高度化を図ることを分担する。2ヵ国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、都市や社会基盤における地震災害の環境インパクトの評価と緩和技術の発展につながることが期待される。
リ・ゾンシャン 天津大学
建築工程学院
教授
都市に対する地震災害インパクトの評価と防災のための大規模計算システムの開発 堀 宗朗 東京大学
地震研究所
教授
 本研究交流は、都市に対する地震災害インパクトの評価と防災のための大規模計算システムを開発することを目指す。具体的には、日本側は各種構造物に対し、大変形や崩壊を伴う地震応答を計算する高度な数値解析技術の開発を分担する。中国側は、さまざまな構造物設計図面から詳細な解析モデルを自動的に生成する計算科学技術の開発を分担する。2ヵ国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、過去の被害事例の統計分析に基づく従来の方法とは一線を画した、詳細なモデルと高度な数値解析を使う大規模シミュレーションに基づいた新しい方法での地震災害インパクトの評価と防災につながることが期待される。
リ・チェン 清華大学
ソフトウェア研究所
准教授