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開発を終了した課題の評価

課題名 「冷凍倉庫におけるガイドレス無人フォークリフト」
所有者 岡山大学、岡山県新技術振興財団
研究者 岡山県立大学 情報工学部 神代 充 准教授
委託企業 日本輸送機株式会社
開発費 約2億円
開発期間 平成18年3月~平成21年3月
評価  本技術は、CAD情報を用いた高速画像処理技術をフォークリフトに適用することにより、冷凍倉庫内をガイドレスで自動走行し、指示された目的物を自動荷役する無人フォークリフトを開発するものである。
 従来、冷凍倉庫における有人フォークリフト作業は、作業者の健康上の問題や長時間作業ができないなどの作業効率の低さから無人化が望まれていた。しかし、これまでの無人フォークリフトはルートが固定されたガイド方式のため走行性能や作業効率が低く、普及が進んでいない状況にある。
 本新技術は、3次元CAD情報を2次元に変換し、重心と輪郭線を比較して対象物を認識する画像処理技術を応用して、冷凍倉庫のCAD情報から作成した仮想イメージとフォークリフト搭載のカメラ画像を比較することにより、自車位置をすばやく特定するものである。当初の目標は複雑な荷姿にも対応しようとするものであったが、冷凍倉庫では不要であることが判明し実用を重視し簡素化している。また、CAD情報と画像情報の誤差から障害物を発見し、衝突を回避する緊急停止機能や画像情報から目的物の形状を認識し、自動荷役する機能を備えて、倉庫管理システムにより複数台の荷役作業を可能としている。
 本新技術は、有人フォークリフト並の時速15kmの自律走行も可能で、冷凍倉庫における作業効率を向上させるとともに、劣悪な冷凍環境下での作業を解放することができる。さらに、可燃物などの危険物倉庫や放射性物質を扱う原子力発電関連設備などの無人化が必要な環境においても利用されることが期待される。
評価者 独創的シーズ展開事業 委託開発
プログラムディレクター
今成 真
プログラムオフィサー
中川 威雄、吉村 進、桐野 豊、小舘 香椎子
評価日 平成21年4月7日