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別紙

戦略的国際科学技術協力推進事業「日本-英国(EPSRC)研究交流」
平成21年度採択課題 一覧

研究交流課題 日本側
研究代表者
所属・役職 研究交流課題概要
英国側
研究代表者
同位体制御されたシリコン中のドナー不純物を中心とした量子スピントロニクス 伊藤 公平 慶應義塾大学
理工学部
教授
 本研究交流は、産業的に最も重要なシリコン半導体を舞台とし、量子情報の長時間維持とエンタングルメント生成の高純度化について追求し、量子物理学理論の予想しない新発見を模索する。
 具体的には、日本側は29Si核スピンを排除した高品質・高純度単結晶作製に関する材料科学と直流磁気共鳴評価を分担し、英国側はパルス磁気共鳴評価と理論解析を分担する。
 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、量子コンピュータ、量子通信、核スピンメモリー、量子ホログラフィックメモリー、超高精度センサーなどで新概念が生まれ、今後のシリコンエレクトロニクスの発展に向けて貢献できることが期待される。
ジョン・モートン オックスフォード大学
材料学科
准教授(相当)
Co 基ホイスラー合金を用いた高品位トンネル接合の作製と高周波発振の実証研究 三谷 誠司 独立行政法人
物質・材料研究機構 磁性材料センター
グループリーダー
 本研究交流は、ホイスラー合金の有する大きなスピン分極率と低ダンピングという優れた特性を最大限に引き出し、スピン注入磁化反転の低電流化や、これまでにない高出力、高効率などの性能を有する高周波発振素子の実現を目指す。
 具体的には、日本側は高品位単結晶ホイスラー合金薄膜の成長と微小素子の作製を分担し、英国側は多結晶ホイスラー合金薄膜と交換バイアスを付与したホイスラー合金薄膜を作製、および、高度な構造と磁気特性の評価を分担する。
 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、不揮発固体磁気メモリ(MRAM)開発のブレークスルー、マイクロ波を利用する技術分野において新しい応用を拓くことが期待される。
廣畑 貴文 ヨーク大学
電子工学科
講師
グラフェンに基づくスピントロニクスデバイスのモデル化 越野 幹人 東京工業大学
大学院理工学研究科 物性物理学専攻
助教
 本研究交流は、スピントロニクスを全く新しい物質グラフェンにおいて探究し、グラフェンにおけるスピン軌道相互作用と磁性不純物の理論の確立を行い、グラフェンに基づくスピントロニクスデバイスにおけるスピン輸送のモデル化を目指す。
 具体的には、日本側はスピンホール効果のモデル化、n-p 接合におけるスピン偏極伝導のモデル化などを分担し、英国側はスピン・角度依存光電子分光のモデル化、強磁性体/グラフェン接合における電子スピン注入の半古典的モデルの構築などを分担する。
 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、スピントロニクスデバイスの高速化、多用途化、省電力化、小型化、また新しい機能として、磁気的性質とトランジスタ的機能を併せ持つ単一デバイスなどの可能性が期待される。
エドワード・
マッキャン
ランカスター大学
物理学科
講師