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別紙1-1

平成21年度新規プロジェクト概要(信州大学、長野県)

プロジェクト名:エキゾチック・ナノカーボンの創成と応用
大学名:国立大学法人 信州大学
自治体名:長野県
在籍卓越研究者名:遠藤 守信(信州大学 工学部 教授/カーボン科学研究所 所長)
プロジェクト責任者名:三浦 義正(信州大学 理事・副学長(研究・財務・産学官連携・国際交流担当))

研究開発のねらい

本研究は、ナノテク分野に関するバックグラウンドの異なる3名の卓越研究者を招聘して信州大学ならびに参画企業との広範な連携研究を展開し、多様で高度な研究者チームによってイノベーションの実現を目指す。具体的テーマは、「ナノカーボン」をベースにそこに新たに異種原子などを積極的に導入した究極のナノカーボンである「エキゾチック・ナノカーボン(以下、ENCsという)」(本プロジェクトではグラフェン、カーボンナノチューブ、新一次元カルビンなどを出発材料とする)に関するもので、基礎科学の構築と物質創成研究を展開する。同時に、高性能エネルギー貯蔵デバイスや超高機能複合材をはじめとしたENCsの応用研究を推進して新地域産業の創出に寄与し、その持続的発展につなげていくとともに、低炭素社会の構築にも貢献することが期待される。

研究開発テーマ・体制

本プロジェクトは、(1)ENCsの創成、(2)物性・機能と構造解析、(3)応用開拓(ナノエレクトロニクス、複合材、エネルギー貯蔵デバイスなど)の3チームを構成する。高度で多様な実績を有する卓越研究者、信州大学研究陣および企業研究者相互のシナジー効果を発揮しつつ研究展開し、ENCs科学の構築とイノベーティブな機能発現を達成し、新地域産業を創出するとともに新規科学による国際的レベルの貢献を目指すものである。

研究体制は、信州大学の研究者チームならびに国内の19企業・機関が参画するコンソーシアム形式とし、基礎科学から、自動車用途に資するリチウムイオン二次電池と高容量電気二重層キャパシタや、超高機能複合材料、電子デバイス、機能素材などへの応用研究まで、同時並行的に推進していく。研究成果を迅速に企業化に結びつけ、新地域産業創出とコアコンピュタンス形成による国際競争力の強化など、広い範囲で経済や社会への貢献が期待できる。そして、世界的なナノカーボン科学の研究・産業拠点「長野ナノカーボンバレー」の構築とその健全な発展に寄与できる。

招聘・連携を目指す卓越研究者

○P. M. Ajayan(ライス大学(アメリカ合衆国) 教授:招聘)

ナノ構造物の合成、構造、物性、ナノコンポジット分野における第一線の研究者。在籍卓越研究者とともにENCsの基礎科学とその新規応用の開拓を中心に担当。

○M. Terrones(IPICyT(メキシコ) 教授:招聘)

ナノマテリアル分野における若手の有力研究者であり、ナノカーボンの生成や構造解析で多大な業績を挙げている。在籍卓越研究者とともにENCs創成とエレクトロニクスなどの革新的応用開拓を中心に担当。

○国内研究者(招聘)

ナノスペース分子科学分野における第一線の研究者であり、ナノ細孔系における吸着現象の量子効果の実験検証と理論研究などをこれまで展開。在籍卓越研究者とともにENCsの物性・構造解析と吸着機能をベースとした新規応用開拓を中心に担当。

その他、3名の国内卓越研究者との連携を推進する。