科学技術振興機構報 第68号
平成16年5月24日
埼玉県川口市本町4−1−8
独立行政法人 科学技術振興機構
電話(048)226-5606(総務部広報室)
URL:http://www.jst.go.jp/

シリコンウエハーのエッチング廃液から酸の分離回収を実用化

 独立行政法人科学技術振興機構(理事長 沖村憲樹)は、委託開発事業の開発課題「溶媒抽出法による混酸廃液からの酸回収装置」の開発結果をこのほど成功と認定しました。
 本課題は、関西大学工学部化学工学科教授 芝田隼次氏と同助教授 山本秀樹氏の研究成果を基に、平成14年2月から平成16年2月にかけて三和油化工業株式会社(取締役社長 柳忍、本社 刈谷市一里山町東石根36番地3、資本金100百万円)に委託して実用化開発(開発費約150百万円)を進めていたものです。
(開発の背景)
 半導体や液晶などの電子部品の製造工場では、エッチング処理が多用されており、主に酢酸―硝酸―フッ酸の混合物が用いられ、多量の混酸廃液が生じています。現在、この混酸廃液を処理するためにはアルカリによる中和が行われていますが、処理費用及び環境負荷の低減から廃酸の分離回収技術が望まれています。
(開発の内容)
 本新技術は、混酸廃液から溶媒抽出法により各酸を個別に分離回収するものであります。分離回収の工程は、酢酸―硝酸―フッ酸を含む混酸廃液に対して、アルコールを用いた抽出により酢酸を回収、次に硝酸―フッ酸を含む水相に対して、リン酸エステルを用いた抽出により硝酸を回収、最後に、フッ酸を含む水相に対して、リン酸エステルを用いた抽出によりフッ酸を回収する操作が行われます。実用プラントの工程は、多段のミキサー・セトラーから構成され、廃液から酢酸、硝酸、フッ酸の各酸を順に、高純度で回収することができます。
 本開発では、処理量50トン/月の40段実証プラントの運転において、連続して安定な分離回収が実証されました。例えば、酢酸回収率97%以上、同純度99%以上の性能が示されました。ラボ装置から実証プラントまでの実験により、容量比で100倍までのスケールアップが実証され、さまざまな処理量の連続プラントの設計技術を確立することができました。
(開発の効果)
 本新技術により、シリコンウエハーの表面加工などのエッチング廃液から不純物の少ない酸を分離回収することができます。従来からのアルカリ中和処理の工程が不要で、工場の廃液処理費用を軽減することができます。また、この技術は液晶製造工場や各種電子部品工場の廃液処理にも広く応用が期待されます。
本新技術の背景、内容、効果の詳細
図1 ミキサー・セトラー原理図
図2 実証プラント抽出装置(左面)
図3 実証プラント抽出装置(右面)
開発を終了した課題の評価

なお、本件についての問い合わせは以下のとおりです。
独立行政法人科学技術振興機構 開発部開発推進課
菊地博道、永田健一(電話:03-5214-8995)
三和油化工業株式会社 東京営業所 課長
柳 均(電話:03-6718-2571)
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