研究総括:
伊藤 幸成(理化学研究所 基幹研究所 主任研究員)
研究領域:
グライコトリロジー
戦略目標:
代謝調節機構解析に基づく細胞機能制御に関する基盤技術の創出
選考パネル:
パネルオフィサー | : | 鈴木 啓介(東京工業大学 大学院理工学研究科 教授) |
パネルメンバー | : | 今本 恒雄(千葉大学 名誉教授) |
橋本 俊一(北海道大学 大学院薬学研究科 教授) | ||
檜山 爲次郎(京都大学 大学院工学研究科 教授) | ||
Jay S. Siegel (Professor, Organisch-chemisches Institut Universitat Zurich) |
評価結果:
研究領域「グライコトリロジー」は、多様な生体現象に関わっている糖タンパク質に着目し、糖鎖・糖タンパク質の人工合成と細胞内機能の解明を目指すものである。具体的には、新しい合成法の開発を通じた糖鎖の網羅的合成、糖タンパク質の全合成を行い、合成糖鎖・糖タンパク質による糖鎖の細胞機能の解明を目指す。また、そこから得られる知見から、糖鎖関連医薬開発に向けて糖タンパク質医薬、糖鎖認識分子の創製へと展開する。
本研究領域は、糖鎖・糖タンパク質の合成を通じて糖タンパク質の細胞内における作用・機能の理解を目指すもので、戦略目標「代謝調節機構解析に基づく細胞機能制御に関する基盤技術の創出」に資するものと期待される。
伊藤 幸成 氏は、本研究領域の基盤となる糖鎖の有機合成と糖タンパク質の生命科学において先導的な研究を推進しており、研究総括として相応しいと認められる。
本研究領域は、糖鎖・糖タンパク質の合成を通じて糖タンパク質の細胞内における作用・機能の理解を目指すもので、戦略目標「代謝調節機構解析に基づく細胞機能制御に関する基盤技術の創出」に資するものと期待される。
伊藤 幸成 氏は、本研究領域の基盤となる糖鎖の有機合成と糖タンパク質の生命科学において先導的な研究を推進しており、研究総括として相応しいと認められる。
研究総括:
高柳 広(東京医科歯科大学 大学院分子情報伝達学 教授)
研究領域:
オステオネットワーク
戦略目標:
生命システムの動作原理の解明と活用のための基盤技術の創出
選考パネル:
パネルオフィサー | : | 中村 義一(東京大学医科学研究所 教授) |
パネルメンバー | : | 饗場 弘二(鈴鹿医療科学大学 薬学部 教授) |
青木 初夫(アステラス製薬株式会社 相談役) | ||
嶋本 伸雄(国立遺伝学研究所 教授) | ||
山本 正幸(東京大学 大学院理学系研究科 教授) | ||
John W. B. Hershey(Professor Emeritus Dept. Biochemistry and Molecular Medicine School of Medicine University of California, Davis) |
評価結果:
研究領域「オステオネットワーク」は、骨を単なる支持組織ではなく脊椎動物の生体系の中心組織として捉え、骨を中心とした外界刺激感知・全身制御ネットワーク(オステオネットワーク)の概念と分子基盤の確立を目指すものである。骨から全身臓器を制御する因子を探索し生体レベルでの機能を解析するとともに、環境変化に対する骨恒常性の維持機構および骨外臓器に起因する骨異常の制御因子を解析し、骨と他臓器との相互連関について分子レベルでの解明を目指す。
本研究領域は、骨を中心とした生命システムの新たな理解の枠組みと分子基盤を提供し、骨疾患や全身の臓器疾患に対する新たな治療戦略の基盤創出を目指すものであり、戦略目標「生命システムの動作原理の解明と活用のための基盤技術の創出」に資するものと期待される。
高柳 広 氏は、世界に先駆けて骨と免疫の関連についての研究を開拓し、骨免疫学という新たな学際領域を創始・発展させてきた研究者であり、研究総括として相応しいと認められる。
本研究領域は、骨を中心とした生命システムの新たな理解の枠組みと分子基盤を提供し、骨疾患や全身の臓器疾患に対する新たな治療戦略の基盤創出を目指すものであり、戦略目標「生命システムの動作原理の解明と活用のための基盤技術の創出」に資するものと期待される。
高柳 広 氏は、世界に先駆けて骨と免疫の関連についての研究を開拓し、骨免疫学という新たな学際領域を創始・発展させてきた研究者であり、研究総括として相応しいと認められる。
研究総括:
四方 哲也(大阪大学 大学院情報科学研究科 教授)
研究領域:
動的微小反応場
戦略目標:
異種材料・異種物質状態間の高機能接合界面を実現する革新的ナノ界面技術の創出とその応用
選考パネル:
パネルオフィサー | : | 金藤 敬一(九州工業大学 大学院生命体工学研究科 教授) |
パネルメンバー | : | 小野田 光宣(兵庫県立大学 大学院工学研究科 教授) |
津田 一郎(北海道大学電子科学研究所 教授) | ||
和田 達夫(前 理化学研究所 基幹研究所 主任研究員) | ||
Anvar Zakhidov(Associate Director of Alan G. MacDarmid Nano Tech Institute The University of Texas At Dallas) |
評価結果:
研究領域「動的微小反応場」では、細胞における生命科学的な特性、すなわち自己複製・分裂による増殖およびミスコピーに依る変異(進化)を物理化学の視点から理解し、細胞を模倣した新たな物質反応場の構築を行う。機能未知の物質が多く含まれる細胞を用いるのではなく、機能がすでに分かっている物質のみを用いることで人為的に制御可能な微小反応場(人工細胞)を構築する。具体的には、効率よく自己複製反応を進める化学的手法、μmサイズの反応場の融合分裂を進める物理学的手法の研究開発を行う。これらを組み合わせることにより、生物のように進化、自己最適化を行う反応場の構築が可能となり、有用物質を生産するために用いる最適な反応場、あるいは有用物質の機能を最適化する反応場が設計可能になると期待される。
本研究領域は、動的微小反応場の創出を通じ、生物界と非生物界という究極の異種物質間の接点の創出を目指すもので、戦略目標「異種材料・異種物質状態間の高機能接合界面を実現する革新的ナノ界面技術の創出とその応用」に資するものと期待される。
四方 哲也 氏はこれまでに生命と同様な仕組みで遺伝情報を複製する反応系を構築するなど本研究領域の基盤となる人工細胞の研究において先導的な研究を行ってきており、研究総括として相応しいと認められる。
本研究領域は、動的微小反応場の創出を通じ、生物界と非生物界という究極の異種物質間の接点の創出を目指すもので、戦略目標「異種材料・異種物質状態間の高機能接合界面を実現する革新的ナノ界面技術の創出とその応用」に資するものと期待される。
四方 哲也 氏はこれまでに生命と同様な仕組みで遺伝情報を複製する反応系を構築するなど本研究領域の基盤となる人工細胞の研究において先導的な研究を行ってきており、研究総括として相応しいと認められる。
研究総括:
湊 真一(北海道大学 大学院情報科学研究科 准教授)
研究領域:
離散構造処理系
戦略目標:
多様で大規模な情報から『知識』を生産・活用するための基盤技術の創出
選考パネル:
パネルオフィサー | : | 西尾 章治郎(大阪大学 理事・副学長) |
パネルメンバー | : | 大堀 淳(東北大学電気通信研究所 教授) |
喜連川 優(東京大学生産技術研究所 教授) | ||
間瀬 健二(名古屋大学 情報連携基盤センター 教授) | ||
Calton Pu (Professor and John P. Imlay, Jr. Chair in Software College of Computing, Georgia Institute of Technology) |
評価結果:
研究領域「離散構造処理系」は、膨大な離散構造データの高速演算処理分野で発達した「二分決定グラフ」(BDD: Binary Decision Diagram)を元に湊 真一 氏が考案したZDD(ゼロサプレス型BDD)を離散構造処理の一般的な処理体系として発展させ、社会における大規模かつ多様な実問題を統合的に高速演算処理する計算処理系の創出を目指すものである。離散構造の処理は計算機のさまざまな応用分野に共通する基盤技術であり、現代の情報化社会に対する波及効果は極めて大きいと考えられる。
本研究領域は、ZDDを基礎として様々な離散構造を統合的に演算処理する技法を体系化し、分野横断的かつ大規模な実問題を高速に処理する技術基盤の構築と実装技術の提供を目指すもので、戦略目標「多様で大規模な情報から『知識』を生産・活用するための基盤技術の創出」に資するものと期待される。
湊 真一 氏は本研究領域の基盤となるZDDおよび離散構造の研究分野において先導的な研究を推進しており、研究総括として相応しいと認められる。
本研究領域は、ZDDを基礎として様々な離散構造を統合的に演算処理する技法を体系化し、分野横断的かつ大規模な実問題を高速に処理する技術基盤の構築と実装技術の提供を目指すもので、戦略目標「多様で大規模な情報から『知識』を生産・活用するための基盤技術の創出」に資するものと期待される。
湊 真一 氏は本研究領域の基盤となるZDDおよび離散構造の研究分野において先導的な研究を推進しており、研究総括として相応しいと認められる。
研究総括:
中嶋 敦(慶應義塾大学 理工学部 教授)
研究領域:
ナノクラスター集積制御
戦略目標:
異分野融合による自然光エネルギー変換材料及び利用基盤技術の創出
選考パネル:
パネルオフィサー | : | 西川 恵子(千葉大学 大学院融合科学研究科 教授) |
パネルメンバー | : | 雨宮 慶幸(東京大学 大学院新領域創成研究科 教授) |
榎 敏明(東京工業大学 大学院理工学研究科 教授) | ||
梶本 興亜(京都大学 名誉教授) | ||
Edward Castner(Professor of Chemistry, Dept. of Chemistry and Chemical Biology Rutgers, The State University of New Jersey) |
評価結果:
研究領域「ナノクラスター集積制御」は、ナノ物質に特徴的な1~10 nmサイズの物質をクラスター物質と位置づけ、原子・分子、固体とは異なるクラスター物質特有の機能解明を行う。同時に、クラスター物質の自在な構造制御・高精度大量合成・精密集積技術を確立し、クラスター物質を核としたナノ集積物質科学とそれに基づくナノデバイス創出を目指すものである。具体的には、金属内包シリコンケージクラスターおよび有機金属サンドイッチクラスターを主な対象として(1)クラスター物質の高精度大量合成とその精密な配列・集積技術の獲得、(2)クラスター集積物質の電子物性・光物性の計測技術確立と機能解析、(3)クラスター集積物質を材料としたナノデバイス創出――を行う。これら3プロセスの発展連携、すなわち化学・物理・工学の融合により、ナノ物質科学の根源的な理解深化が期待される。また、高精度に構造制御されたクラスター物質を精密に集積化する技術を用いた新しい太陽電池電子デバイスをはじめ、機能応答デバイス創出のための基盤技術確立に貢献するものと考えられる。
本研究領域は、ナノクラスター物質を「つくる/並べる」・「測る」・「デバイス化する」ことを通じて、現在のナノサイエンスの空白域である1~10nmサイズ領域における「ナノ集積物質科学」を切り拓き、分子集団操作技術を用いて、光学応答・磁気機能を高効率・高選択的に併せ持つナノデバイスの創成を行うものである。その研究成果は、戦略目標「異分野融合による自然光エネルギー変換材料及び利用基盤技術の創出」に資するものと期待される。
中嶋 敦 氏は、これまで化学の視点からクラスター・ナノ粒子の研究を推進し、独創的な実験手法を用いて新奇な多成分複合ナノクラスターを創成することに取り組み、顕著な業績を上げていることから、研究総括として相応しいと認められる。
本研究領域は、ナノクラスター物質を「つくる/並べる」・「測る」・「デバイス化する」ことを通じて、現在のナノサイエンスの空白域である1~10nmサイズ領域における「ナノ集積物質科学」を切り拓き、分子集団操作技術を用いて、光学応答・磁気機能を高効率・高選択的に併せ持つナノデバイスの創成を行うものである。その研究成果は、戦略目標「異分野融合による自然光エネルギー変換材料及び利用基盤技術の創出」に資するものと期待される。
中嶋 敦 氏は、これまで化学の視点からクラスター・ナノ粒子の研究を推進し、独創的な実験手法を用いて新奇な多成分複合ナノクラスターを創成することに取り組み、顕著な業績を上げていることから、研究総括として相応しいと認められる。
研究総括:
末松 誠(慶應義塾大学 医学部 教授)
研究領域:
ガスバイオロジー
戦略目標:
代謝調節機構解析に基づく細胞機能制御に関する基盤技術の創出
選考パネル:
パネルオフィサー | : | 梶谷 文彦(川崎医療福祉大学 副学長) |
パネルメンバー | : | 安藤 譲二(東京大学 大学院医学系研究科 教授) |
佐藤 慎次郎(テルモ株式会社 経営企画室 副室長) | ||
谷下 一夫(慶應義塾大学 理工学部 教授) | ||
Richard I. Kitney(Professor, Imperial College of Science, Technology and Medicine) |
評価結果:
研究領域「ガスバイオロジー」では、ガス分子を介した代謝調節機構の解明とヒトにフィードバック可能な細胞・臓器機能の人為的制御機構の開発研究を行う。具体的にはガス分子の特異的受容体の系統的探索、ガス分子の生体内濃度や分布、輸送機構のin vivoにおける検証やバイオイメージング、あるいは代謝システム全体に及ぼす効果の定量的評価を可能にする技術を確立し、生体内での神経、血管、免疫系においてガス分子が行う制御機能の解明を行い、その成果の医学・医療への応用について検討する。
本研究領域は生体内におけるガス分子の生成、受容、輸送機構の制御を解明し、医学・医療への応用を目指していることから、戦略目標「代謝調節機構解析に基づく細胞機能制御に関する基盤技術の創出」に資するものと期待される。
末松 誠 氏は、超免疫不全マウスにヒト由来の大腸がんを脾臓内注入し、肝臓に微小転移を再現する系を確立し、局所の酸素消費やNO, COの生成を癌部、非癌部で評価できる系を確立するなど本研究領域の基盤となる生体内ガス分子の研究において先導的な研究を行ってきており、研究総括として相応しいと認められる。
本研究領域は生体内におけるガス分子の生成、受容、輸送機構の制御を解明し、医学・医療への応用を目指していることから、戦略目標「代謝調節機構解析に基づく細胞機能制御に関する基盤技術の創出」に資するものと期待される。
末松 誠 氏は、超免疫不全マウスにヒト由来の大腸がんを脾臓内注入し、肝臓に微小転移を再現する系を確立し、局所の酸素消費やNO, COの生成を癌部、非癌部で評価できる系を確立するなど本研究領域の基盤となる生体内ガス分子の研究において先導的な研究を行ってきており、研究総括として相応しいと認められる。