本新技術の背景、内容、効果は次のとおりです。

(背景) 強化繊維の特性を最大限発揮できる多方向強度、且つ、リサイクル性と再加工性を有する多方向繊維強化熱可塑性樹脂複合材料が望まれています。

 FRP に代表される長繊維強化複合材料は、製造法からの制約により、マトリックスに熱硬化性樹脂を用いた一方向性材料が中心であり、多方向強度、リサイクル性、再加工性等に難点を有しています。
 一方、熱可塑性樹脂複合材料の製法の大部分は、短繊維型の射出成形用であり、長繊維を用いると、樹脂が高粘度であるために含浸が困難であり、更には、成形温度が高いなどの問題点を有し、実用化には至っていません。強化繊維の特性を最大限発揮できる多方向強度、且つ、リサイクル性と再加工性を有する多方向繊維強化熱可塑性樹脂複合材料が望まれています。

(内容) 高い効率で樹脂を強化繊維に含浸させることにより、多方向強度やリサイクル性と再加工性を有する多方向繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の製造技術に関するものです。

 本新技術は、高い効率で樹脂を強化繊維に含浸させることにより、従来の熱硬化性複合材料(FRP)と同等の強度をもち、リサイクル性と再加工性を有する多方向繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の製造技術に関するものです。
 本開発においては、ガラス長繊維や炭素長繊維の強化繊維束を熱可塑性樹脂繊維で被覆化したマイクロブレーディング(複合組紐)やマイクロカバーリングヤーン(複合撚紐)の加工技術と多軸配向編網技術を組み合わせた製造技術です(図1図2)。本製造技術で得られた複合材料の前駆体である編網状基材を用いて、繰り返し加熱成形工程を通し、熱可塑性樹脂繊維を強化繊維に高く含浸でき、従来の熱硬化性樹脂複合材料と比較して、多方向強度、リサイクル性、再加工性のある高強度熱可塑性複合材料を可能にしたものです(図3図4)。

(効果) 多方向強度や、リサイクル性、再加工性等の難点を克服した高強度熱可塑性樹脂複合材料を可能にしたものです。

 従来のFRPに代表される長繊維強化熱硬化性樹脂複合材料の製造法の制約からの多方向強度や、リサイクル性、再加工性等の難点を克服した高強度熱可塑性樹脂複合材料を可能にしたものであり、自動車、船舶をはじめ、航空・宇宙輸送等の分野において二次構造材への新しい利用が期待されます。

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