科学技術振興機構報 第67号
平成16年5月21日
埼玉県川口市本町4−1−8
独立行政法人 科学技術振興機構
電話(048)226-5606(総務部広報室)
URL:http://www.jst.go.jp/

高効率で強化繊維に含浸させた熱可塑性樹脂複合材料の開発に成功

 独立行政法人科学技術振興機構(理事長 沖村憲樹)は、委託開発事業の開発課題「多方向繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の製造技術」の開発結果を、このほど成功と認定しました。
 本課題は、京都工芸繊維大学大学院教授M田泰以氏らの研究成果を基に、平成13年3月から平成16年1月にかけて福井ファイバーテック株式会社(代表取締役社長 福井英輔、本社 愛知県豊橋市中原町岩西5-1、資本金 95百万円)に委託して実用化開発(開発費300百万円)を進めていたものです。
(開発の背景)
 FRP に代表される長繊維強化複合材料は、製造法からの制約により、マトリックスに熱硬化性樹脂を用いた一方向性材料が中心であり、多方向強度、リサイクル性、再加工性等に難点を有しています。
 一方、熱可塑性樹脂複合材料の製法の大部分は、短繊維型の射出成形用であり、長繊維を用いると、樹脂が高粘度であるために含浸が困難であり、更には、成形温度が高いなどの問題点を有し、実用化には至っていません。強化繊維の特性を最大限発揮できる多方向強度、且つ、リサイクル性と再加工性を有する多方向繊維強化熱可塑性樹脂複合材料が望まれています。
(開発の内容)
 本新技術は、高い効率で樹脂を強化繊維に含浸させることにより、従来の熱硬化性複合材料(FRP)と同等の強度をもち、リサイクル性と再加工性を有する多方向繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の製造技術に関するものです。
 本開発においては、ガラス長繊維や炭素長繊維の強化繊維束を熱可塑性樹脂繊維で被覆化したマイクロブレーディング(複合組紐)マイクロカバーリングヤーン(複合撚紐)の加工技術と多軸配向編網技術を組み合わせた製造技術です(図1図2)。本製造技術で得られた複合材料の前駆体である編網状基材を用いて、繰り返し加熱成形工程を通し、熱可塑性樹脂繊維を強化繊維に高く含浸でき、従来の熱硬化性樹脂複合材料と比較して、多方向強度、リサイクル性、再加工性のある高強度熱可塑性複合材料を可能にしたものです(図3図4)。
(開発の効果)
 従来のFRPに代表される長繊維強化熱硬化性樹脂複合材料の製造法の制約からの多方向強度や、リサイクル性、再加工性等の難点を克服した高強度熱可塑性樹脂複合材料を可能にしたものであり、自動車、船舶をはじめ、航空・宇宙輸送等の分野において二次構造材への新しい利用が期待されます。
本新技術の背景、内容、効果の詳細
【用語解説】
図1 複合組紐(マイクロブレーディング)と複合撚紐(カバーリングヤーン)の材料構成
図2 多軸配向編網基材製織模式図
図3 4軸配向編網状基材(複合材料前駆体)
図4 複合材料成形品断面写真
開発を終了した課題の評価

なお、本件についての問い合わせは以下のとおりです。
独立行政法人科学技術振興機構 開発部開発推進課
菊地博道、福富 博(電話:03-5214-8995)

福井ファイバーテック株式会社 代表取締役社長  福井英輔、
プルコム事業部長 大川義人(電話:0532-41-1211)
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