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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 45 新しい離散化解析法(TK法)による構造設計のためのFOAシステムのモデル化(H14-0194)

企業名 :株式会社 先端力学シミュレーション研究所
研究者(研究機関名) :川井 忠彦(東京理科大学 工学部 非常勤講師)

1 ) モデル化の概要および成果
 現在、有限要素法による超大規模計算システムの開発は、メッシュ分割の自動化、大規模並列計算における粒度の問題で大きな壁にぶつかっている。これは有限要素法が変位を未知量にとり、仮想仕事の原理を基礎として問題を解く選点法に立脚していることに由来する。この問題を解決するためT.Kawaiは仮想仕事の原理を一般化し、変位法を含み要素間で状態ベクトル(変位、応力)の連続性を必要としない変形Hellinger-Reissner法等により、有次元の多項式で現せる変位関数を用いた解析システムを構築した(TK法)。
 本モデル化はTK法を活用増分形式に置き換えて、設計の初期段階で三次元構造物の最終強度を的確に予測できるFOA(First Order Analysis)システムを開発し実証実験を実施した。その結果、初期設計の段階で利用できるFOA構造設計システムの理論を確立するとともに、メッシュ分割の自動化、3次元シェル構造物の解析が可能であることを検証した。今後、演算時間の短縮とCAD機能の強化を図り実用に供してゆく。これらの課題は、現在の数値解析技術を駆使することによって解決できる見通しであり、構造設計技術者の初期設計ツールとして利用できる。更に、安価な価格帯を実現することにより、欧米の高価な解析コードを駆使することなく、中小企業の技術者や大学等の工学教育材料としての活用も見込まれる。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 構造物の初期設計では網羅できない事項の予測評価を行う設計上の簡易数値計算法において最適設計への途を明確にした。課題としては計算時間の短縮が残るが、所期目標は達成した。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし。今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 中小企業技術者や大学等の工学教育のためのシミュレーション化商品となる。また、解析演算時間の高速化が達成されれば、汎用モバイル化商品となる。
新産業、新事業創出の期待度
 実用化に向けて残された課題(計算時間の短縮、CAD機能の強化)が解決できれば、FOAシステムとして新事業創出の可能性は期待できる。
3 ) 評価のまとめ
 本モデル化により、初期設計の段階で三次元構造物の最終強度を的確に予測できるFOA(First Order Analysis)システムの理論を確立するとともに、メッシュ分割の自動化、3次元シェル構造物の解析が可能であることを検証した。残された課題(計算時間の短縮、CAD機能の強化)を解決できれば、構造設計技術者の初期設計ツールとして実用化が期待できる。


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This page updated on May 19, 2004

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