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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 33 科学教育・知育玩具用のヒューマノイドロボットのモデル化(H14-0142)

企業名 :株式会社 イーケイジャパン
研究者(研究機関名) :北野 宏明(科学技術振興事業団  ERATO北野共生システムプロジェクト総括責任者)

1 ) モデル化の概要および成果
 最近は学校、民間、自治体などでの科学教育にロボット教育が盛んに取り入れられるようになってきている。本システムは、26自由度(関節の数)を持つヒューマノイドロボットであるが、本格的な多節ヒューマノイドを、ロボット研究者以外の一般者(おもに高校生程度)向けの科学教育等のプラットフォームとして導入できるようにするために、各モジュールの標準化および低価格化を目的として開発・試作したものである。また、一般者を対象とした歩行理論の教育カリキュラムも含めて研究検討を行っている。
 従来、小形の歩行ロボットを製作するには市販の無線操縦模型用のサーボモータを利用することが多いが、これらの制御信号は周期が20ミリ秒程度のPWM(パルス幅変調)によるアナログ方式である。この方式はサーボモータの数が少ない場合は手軽であるが、ヒューマノイドのように多数使用になると、全体を制御するCPUモジュールに多数のPWM出力ポートが要求される(=コスト高)、二足歩行ではより短い制御周期が要求される、配線ケーブルが煩雑になる等の問題がある。本機では、各サーボモータを直接制御するサブCPUモジュールに対して、メインCPUからデジタルの制御データを体内LANで配信することにより解決している。さらに、無線操縦模型用のサーボモータはすべて片軸出力のため軸にかかる荷重やたわみ、強度に問題が発生しがちであるが、本機では両軸(貫通軸)出力として解決している。
 また、特別な専門知識を持たなくても運動データを作成できるソフトウェアも試作した。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 当初目標の教育用ロボットという視点からすると、低コスト化、モジュール化等が未達成である。教育用を目指すならば、今後モデル化により得られた知見を生かしてコストダウン等に方向を切り替えて進めば、新しい道も開けるのではないか。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし。今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 ロボット業界は開発スピードが早く、企業化に2年かかっては、業界のレベルについていけない。ロボットとしての目標価格数十万円の達成には相当な困難が予想される。
新産業、新事業創出の期待度
 今のままでは新事業創出は期待薄であり、コンセプトを切り替え、教育用簡易ロボット、及び安価な部品の開発に取り組む必要がある。
3 ) 評価のまとめ
 企業側の報告には、このままでは企業化は難しいなど悲観的表現も見られる。強い意欲を持ってこの先の開発を進めないと企業化は困難である。


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This page updated on May 19, 2004

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