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研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 19 高速波長可変赤外レーザーシステム(H14-0087)

企業名 :株式会社 メガオプト
研究者(研究機関名) :和田 智之(理化学研究所 工学基盤研究室 基盤技術開発室 先任研究員)

1 ) モデル化の概要および成果
 本装置は、チタンサファイアレーザーおよび波長変換用の光パラメトリック発振器をベースとした広帯域波長可変赤外光源である。その特徴は波長を選択する手法として音響波による波長選択素子を使用している点で、これにより特定の波長を選ぶ際に機械動作を必要とせず、外部からの電気的な信号のみにより自在に任意の波長を取り出すことができる。
 これまでの波長可変赤外光を発生させる技術では、必ず機械的な動作を必要としており、そのため波長を変化させる速度や波長の精度には限界があった。これに対し、本装置は電気信号のみで波長を自在に変えることが出来るため、従来よりも100倍以上の速度で安定に波長を変えることができる。また、波長と同時に出力も瞬時に切り替えることができるため、全ての波長域にわたり出力を一定にするなどの新しい機能も可能である。
 現在、波長域2.20~2.85μm、出力50mW以上が得られている。光パラメトリック発振器に使用する非線形結晶を変えることにより、他の波長域を出力させることもできる。この光源はほとんどの分子、原子の吸収帯が存在する赤外領域において波長制御ができるため、物質の分析など分光応用目的に最適である。そのため、理化学用光源を初めとし、将来的にはリアルタイムガスモニターなどの光源としての実用化を目指す。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 波長可変域の目標値3μm帯は達成できていないが、赤外波長域の目標値500nmは達成している。結晶の評価選定と装置の更なる開発が残された問題であるが、一定の成果が得られていると評価される。
知的財産権等の発生
 現在まで発生なし。今後の取得の可能性あり。
企業化開発の可能性
 平均出力50mW仕様は理化学測定器用途の光源として実用化が出来る。今後更なる高出力化が可能になれば物質測定装置等産業用波長可変光源として実用化が期待できる。
新産業、新事業創出の期待度
 今後の波長可変光源機能(波長可変域、出力)の向上により、産業用の新分野(地質検出センサー等)への応用展開が期待できる。
3 ) 評価のまとめ
 システムのモデル化はほぼ達成しており、平均出力50mW仕様は理化学測定器用途の光源として実用化が出来る。また、今後更なる高出力化が可能になれば産業用波長可変光源としても実用化が期待出来る。簡単には真似されない知財型新技術の一つであると評価される。


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This page updated on May 19, 2004

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