報告書 > 評価結果(2)研究開発課題の個別評価

研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)

平成14年度実施課題 事後評価報告書



平成16年4月
研究成果最適移転事業 成果育成プログラムB(独創モデル化)評価委員会


5. 評価結果
(2)研究開発課題の個別評価
 15 レーザートラップマイクロ光造形法によるマイクロモデリングシステムの試作(H14-0074)

企業名 : 株式会社 ディーメック
研究者(研究機関名) :増原 宏(大阪大学 大学院 工学研究科 応用物理学専攻 教授)

1 ) モデル化の概要および成果
 マイクロメートルオーダーの精度を実現するマイクロ光造形法と微小物体操作を実現するレーザートラッピング法(粒子に集光レーザービームを照射してその粒子を捕捉する手法)を組み合わせたマイクロモデリングシステムを試作した。マイクロメートルオーダーの精度で作製された三次元立体モデルにレーザートラッピングにより操作した微小物体を組込み、複合化した微細構造物を作製することが可能となった(従来法による半導体微細加工技術を利用した方法では、複雑な製造プロセスを経る必要があり、また複合化は難しい)。今回の試作では、顕微鏡に高精度なXYZステージ、XYレーザー走査機構、シャッター制御機構、レーザー強度調整機構を組合せ、光造形用紫外光源としてHe-Cdレーザー、レーザートラップ用近赤外光源としてNd:YVO4レーザーを用いることで、目標となる精度と立体造形を実現した。用いる光硬化性樹脂やシステム制御プログラムの改善で、より微細で複雑な構造の造形が可能であり、またマイクロ(数μm)からセンチメートル(~50mm)までのあらゆるサイズでの立体化も期待できる。今後もさらなる造形速度アップ等、実用化に向けた検討を実施する予定である。今回のモデル化により、従来にはないマイクロデバイスの作製法としての確立が見込まれ、将来的には、バイオチップ、医療用検査チップ、マイクロ化学システムなど様々な分野におけるマイクロデバイスの作製への活用が期待される。

2 ) 事後評価
モデル化目標の達成度
 ±25mmの範囲で硬化領域が5μmから40μmの領域にわたるマイクロメートルオーダー精度のマイクロ光造形が実現されており一応の目標は達成している。
知的財産権等の発生
 特許出願の準備を進め近々に出願を予定している。高精度化、高速化の改良研究の中に出願に値する成果が複数存在すると予測出来る。
企業化開発の可能性
 高速化のための高度なレーザー光の制御や光硬化性樹脂の改良という課題はあるが2~3年程度で企業化の可能性は高い。
新産業、新事業創出の期待度
 将来、フェムト秒レーザー光源の利用が可能になればより高精度な造形も期待でき新産業創出への波及効果を期待できる。
3 ) 評価のまとめ
 高速化へのレーザー光制御や光硬化性樹脂の改良等の今後の課題が明らかになりモデル化目標は達成できたと考える。光硬化性樹脂の改良等で開発期間が長期化する可能性もあるが、マイクロ領域での三次元構造物の光造形はIT産業や電子部品への応用を始めとして波及効果が大きく産業界への寄与が期待できる。


一覧に戻る 次へ

目次に戻る


This page updated on May 19, 2004

Copyright©2004 Japan Science and Technology Agency.