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別紙

平成21年度「日本-ドイツ研究交流」採択課題一覧

課題名 日本側
研究代表者
所属・役職 課題概要
ドイツ側
研究代表者
所属・役職
単一量子ドットを用いたレーザの開発 荒川 泰彦 東京大学
生産技術研究所
教授
 本研究交流は、半導体レーザの分野において究極的レーザの1つといえる、量子ドットを利得媒質に用いたレーザを開発することを目的とする。
 具体的には、日本側の高度なナノ構造作製技術と、ドイツ側のナノメートルオーダーでの位置制御技術を組み合わせ、高いQ値をもつナノ共振器レーザを作製する。
 両国の研究チームが本研究交流を通じて相互補完的に取り組むことで、超低消費電力のレーザを実現するだけでなく、新規デバイスの創出やナノエレクトロニクス分野の展開に広く貢献することが期待される。
Alfred Forchel
(アルフレッド・
フォーヒェル)
ヴュルツブルグ大学
物理技術学部
教授
Martin Kamp
(マーティン・
カンプ)
ヴュルツブルグ大学
物理技術学部
グループリーダー
巨大環状化合物を用いるナノエレクトロニクス 伊與田 正彦 首都大学東京大学院
理工学研究科
教授
 本研究交流は、巨大環状分子を合成し、単一分子または超分子集積体の構造と物性の関係を調べることを目的とする。
 具体的には、日本側の巨大環状分子合成技術と、ドイツ側の超分子構造分析技術および電子デバイス作製技術を組み合わせ、巨大環状分子の電子物性を解明する。
 両国の研究チームが本研究交流を通じて相互補完的に取り組むことで、巨大環状分子を用いた単一分子整流器や電界効果トランジスターのプロトタイプを実現することが期待される。
Klaus Müllen
(クラウス・
ミュレン)
マックスプランク高分子研究所
教授
Jürgen P. Rabe
(ユルゲン・
ラーベ)
ベルリン フンボルト大学
物理学専攻
教授
チューナブルRFシステムの1チップ化のための先端ナノCMOSデバイスと共存可能なNEMS/MEMSとナノ材料利用受動素子 江刺 正喜 東北大学
原子分子材料科学高等研究機構
教授
 本研究交流は、将来の携帯無線通信機器で使用される1チップ可変RF素子の鍵となる技術を開発することを目的とする。
 具体的には、日本側の可変機能付与のためのNEMS/MEMSや先端ナノCMOSデバイスに関する知見と、ドイツ側のウェハレベルでのLSI集積化技術を組み合わせ、小型化と低価格化を実現しうるデバイス技術を創成する。
 両国の研究チームが本研究交流を通じて相互補完的に取り組むことで、世界中どこでも使える携帯情報端末の将来方式を実現することが期待される。
Thomas Gessner
(トーマス・
ゲスナー)
ケムニッツ工科大学
マイクロテクノロジーセンター
センター長
走査型マルチプローブ超高密度記録のための電気的双安定記録媒体の研究 小野 崇人 東北大学大学院
工学研究科
教授
 本研究交流は、双安定導電性高分子薄膜からなる記録媒体の作製とその機械的安定性を達成することを目的とする。
 具体的には、日本側の導電性高分子を用いた記録媒体の作製および走査型プローブ顕微鏡(SPM)による記録に関する知見と、ドイツ側の導電性プローブ顕微鏡による耐摩耗性のある導電性評価手法を組み合わせ、機械的に安定した有機双安定記録媒体記録媒体および小型記録システムを開発する。
 両国の研究チームが本研究交流を通じて相互補完的に取り組むことで、既存の記録素子ではなし得ない超高密度な記録素子の実現が期待される。
Rüdiger Berger
(リューディガー・
ベルガー)
マックスプランク高分子研究所
教授
Jochen-
Stefan Gutmann
(ヨヒェン-ステファン・
グートマン)
マインツ大学
物理化学研究所
教授
計算科学手法によるスピントロニクス材料の設計と機能予測 小野 倫也 大阪大学大学院
工学研究科
助教
 本研究交流は、大規模第一原理シミュレーションにより、IV族半導体や遷移金属酸化物などを用いた次世代スピントロニクスデバイス用高機能材料と磁気接合構造を設計、評価することを目的とする。
 具体的には、日本側の大規模系におけるナノ材料計算に関する知見と、ドイツ側の表面や界面における磁気特性や希釈磁性半導体に関する深い見識およびスーパーコンピューター設備を組み合わせ、計算機によるスピントロニクス材料の設計と評価を行うと共に、計算コードの改良を行う。
 両国の研究チームが本研究交流を通じて相互補完的に取り組むことで、環境にやさしいスピントロニクスデバイス用材料を実現し、また新しい計算手法によりナノエレクトロニクス分野の材料設計に拍車をかけることが期待される。
Daniel Wortmann
(ダニエル・
ヴォルトマン)
ユーリッヒ研究センター
研究員
ホイスラー合金電極を用いたスピントロニクス素子の界面構造・組成 宝野 和博 物質・材料研究機構
磁性材料センター
センター長
 本研究交流は、ハーフメタルスピントロニクス素子実現に必要な界面構造・組成を明らかにし、ホイスラー合金を用いたスピントロニクス素子を高性能化に寄与することを目的とする。
 具体的には、日本側のナノ構造制御による垂直通電型巨大磁気抵抗効果(CPP-GMR)素子開発技術と、ドイツ側のトンネル磁気抵抗(TMR)素子開発技術とを組み合わせる。さらに、両国のレーザー3次元アトムプローブ法および高分解能電子顕微鏡法(HRTEM)による解析技術を組み合わせ、これらの素子の伝導特性と界面の構造・組成の因果関係を解明する。
 両国の研究チームが本研究交流を通じて相互補完的に取り組むことで、省電力型素子の開発を実現し、ハーフメタル電極を用いた種々のスピントロニクス素子開発の指針を与えることが期待される。
Guido Schmitz
(グイド・
シュミッツ)
ミュンスター大学
材料物理研究所
教授
Andreas Hütten
(アンドレアス・
ヒュッテン)
ビールフェルド大学
物理学部
教授
原子スケールで制御された金属ナノ接合における電子伝導の光制御 三澤 弘明 北海道大学
電子科学研究所
教授
 本研究交流は、原子スケールで制御された金属ナノ接合を創出し、光照射に基づく電子伝導制御のメカニズムを明らかにすることを目的とする。
 具体的には、日本側の金属ナノ構造の加工技術と、ドイツ側の原子スケールで制御されたナノ接合創出に関する知見を組み合わせ、プラズモン励起によって誘起される光電場増強が金属ナノ接合における電子伝導に及ぼす効果について解明する。
 両国の研究チームが本研究交流を通じて相互補完的に取り組むことで、小数電子の伝導を光によって制御するデバイスの設計指針を与え、省電力・高速で動作するトランジスタやメモリなどの創出に貢献することが期待される。
Elke Sheer
(エルケ・
シアー)
コンスタンツ大学
物理学部
教授