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別紙

戦略的国際科学技術協力推進事業「日本-スウェーデン研究交流」
平成21年度採択課題一覧

研究交流課題 日本側
研究代表者
所属・役職 研究交流課題概要
スウェーデン側
研究代表者
1 単一細胞解析と細胞バイオメカニクスのための新規バイオアッセイシステム 大橋 俊朗 北海道大学
大学院工学研究科
教授
 本研究交流は、高精度・高効率で単一細胞解析を行うことができ、かつ細胞バイオメカニクス実験への応用利用も可能な新規バイオアッセイシステムの開発を目指すものである。
 具体的には、日本側はマイクロフルイディクス技術によるマイクロポンプ・バルブを実装した微小流路デバイスの開発および磁気ビーズを用いた表面エンジニアリング技術の確立を分担し、スウェーデン側は細胞の選択的ソーティングのためのマイクロウェルプレートの開発および腫瘍細胞診断など細胞バイオアッセイの実施を主として分担する。
 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、細胞解析用バイオアッセイシステムのさらなる高度化、および新しい細胞バイオメカニクス実験システムの創出が期待される。
ヘレン・アンダーソン・スバン 王立工科大学
バイオテクノロジー学科
教授
2 ミトコンドリアβバレル型外膜タンパク質の輸送と膜組み込み機構及びタンパク質相互作用の解明 ポール・ホートン 産業技術総合研究所
生命情報工学研究センター
研究チーム長
 本研究交流は、ミトコンドリアβバレル型外膜タンパク質(MBOMP)のミトコンドリアへの輸送および外膜への組み込み機構の解明を目指すものである。
 具体的には、日本側はアミノ酸配列の情報解析によるMBOMPの輸送シグナル・外膜組み込みシグナルの探索と、実験的アプローチによる輸送・外膜組み込みシグナルの検証、輸送・外膜組み込み装置(トランスロケータ)のストイキオメトリーやトポロジーの解析、トランスロケータのタンパク質複合体およびタンパク質相互作用モデルの検証を分担し、スウェーデン側は立体構造の情報解析によるトランスロケータのタンパク質複合体と各トランスロケータにおけるタンパク質相互作用のモデル構築を分担する。
 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、配列解析、立体構造モデリングと実験的アプローチのそれぞれの強みを生かし、MBOMPの輸送・外膜組み込みシグナルおよびトランスロケータのタンパク質相互作用の解明が期待される。
アルネ・エロッフソン ストックホルム大学
生物物理・生化学学科
教授
3 蛋白質-リピッド相互作用のケミカルバイオロジー 菅 裕明 東京大学先端科学技術研究センター
教授
 本研究交流は、有機化学と生物科学の融合を目指すものである。
 具体的には、日本側は有機化学側の研究を、スウェーデン側は生物科学の研究を分担する。
 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、膜蛋白質の脂質への挿入メカニズムに関する新知見の獲得が期待される。
グナール・ボン・ヘジネ ストックホルム大学
生物物理・生化学学科
教授
4 核酸医薬品伝達のための新規方法論の開発 二木 史朗 京都大学化学研究所
教授
 本研究交流は、膜透過性のペプチドとの複合体形成により効果的に標的細胞へのオリゴ核酸の導入を図り、遺伝子発現の調節、特に遺伝子を不活性化するための新しい方法論の開発を目指すものである。
 具体的には、日本側は高い膜透過性と治療効果が得られるような膜透過ペプチドとオリゴ核酸との複合体調製を分担し、スウェーデン側は膜透過ペプチドならびにオリゴ核酸の構造や化学修飾に関して検討し、高い細胞移行性と生理活性を有する分子の開発を分担するとともに、標的組織への移送のためのペプチド配列に関しても検討を加える。
 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、ガンを含めたさまざまな疾病治療に応用可能な効果的なオリゴ核酸の細胞内送達法の樹立が期待される。
ウロ・ランゲル ストックホルム大学
神経化学部門
教授
5 真核生物染色体高次構造構築原理についての革新的研究 白髭 克彦 東京工業大学
大学院生命理工学研究科
教授
 本研究交流は、遺伝情報の本質である染色体がどのように親から子へ、細胞から細胞へ安定に継承されていくのかを明らかにする事を目的として、ゲノムトポロジーの観点から解析を行うものである。
 具体的には、ヒトおよび酵母染色体を対象とし、日本側は、ゲノム学、情報工学的手法を中心とした解析を分担し、スウェーデン側は、遺伝学的、生化学的解析を分担する。
 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、真核生物の遺伝情報の維持、発現制御普遍的かつ必須の分子機構の一端が解明される事が期待される。
カミーラ・スヨーグレン カロリンスカ研究所
細胞分子生物学部門
チームリーダー
6 一細胞遺伝子発現解析技術の開発 神原 秀記 (株)日立製作所
中央研究所
フェロー
 本研究交流は、一細胞中の種々mRNAの定量分析(遺伝子発現解析)を多くの細胞について並列的に行う技術の開発を目指すものである。
 具体的には、日本側は新しい簡易で安価な多数遺伝子多細胞を対象とした一細胞遺伝子発現解析技術の開発を分担し、スウェーデン側は神経幹細胞や前駆細胞のディジタルカウントによる網羅的遺伝子発現解析によって、幹細胞マップ作成を分担する。
 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、生命科学分野、医療分野、特に再生医療の基礎となる個別細胞レベルの分類方法とmRNA定量分析技術が創生されることが期待される。
ステン・リナーソン カロリンスカ研究所
医生化学・生物物理部門
准教授