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別紙1

「社会とつなぐ理数教育プログラムの開発」平成21年度採択機関 一覧

採択機関名 連携機関名 プロジェクト名 取り組み概要
福井大学 福井市教育委員会 福井の科学技術を生かした理数教育プログラムの開発 【目的】
 福井県は、繊維やメッキなどをはじめとして、国内外にも稀有な技術を開発している企業が多く、優れたものづくり技術を誇っています。一方、中学校では、職場体験などのキャリア教育や企業と連携した理科の授業が始まっています。しかし、キャリア教育を意識した理科の実践はそれほど行われていません。そこで、こうした企業の技術者とともに理科の授業を計画し、学習内容と生活とのつながり、また先進的な科学技術を身近な地域の企業で行っていることを知る学習プログラムを開発します。
【開発プログラムの概要】
 福井県が編集・刊行している「実は福井の技」を活用し、理科の学習内容と関連の深い地元企業を選定し、授業プランを作成します。学習内容と先端科学技術とのつながりを研究者から直接聞くことにより、理数の学習が日常生活に密接に結びついていることを理解させるとともに、地域企業への関心を高めるようにします。また、技術者から直接話を聞くことによって、科学技術を身近に感じ、技術者やものづくりに対するあこがれや将来の職業のイメージを持つ契機とします。さらに、県内の多くの企業が、日本の科学技術を支えていることを知り、自らが生まれ育った福井に誇りと夢を持つ契機ともします。
岐阜聖徳学園大学 吉田町教育委員会 身近な会社の未知な製品とあなたの理科学習との関係  吉田町を含む志太榛原地域には多種多様な企業があり、保護者などの身近な大人が数多く勤めています。これら企業から理科の学習内容に関わりが深いものを20数社ほど選定して、これらにはどのような職種があり、どのような製品を製造し、学習している理科の内容とどのように関わっているかを中学生でも分かるように資料にまとめます。作成した資料を理科の授業だけでなく総合的な学習の時間のテキストに利用できるようにます。同時に、いくつかの企業から担当者または研究者を招き、具体的な講義・実験指導を受け、その後2年次に企業で職業体験を行います。そして、これらの職種に就くために、中学校卒業後、どのような進路を選べばよいかを、具体的な高等学校(普通科、理数科、工業科、水産科など)との関係を確認しながら考えることができる資料を作成し、同時に、高等学校から担当者を招き、具体的な講義を受けます。また、理科の授業を行うとき、理科との関連が分かりやすい資料とし、深く知りたい生徒のために、ホームページを作成し、随時調べられる環境をつくり、教師がこのホームページを利用して、授業ができるように形式を工夫します。
NPO法人
企業教育研究会
千葉県教育委員会 図形の証明・関数を活用したプログラミング(数学とゲームの意外な関係)  本プロジェクトでは、数学の学習において、身近な存在であるテレビゲームのプログラミングを取り上げることにより、数学的な関心・意欲が高められ、生徒に現在の数学の学習と社会での仕事とのつながりを理解させること、そして数学を使った仕事に対する興味を抱かせることを目的とします。
 具体的には、多くの生徒が苦手としている図形の証明や関数の単元において、テレビゲーム産業に関わる職業(プログラマー)に触れさせるとともに、数学がどのようにテレビゲームのプログラミングで活かされているかを学ばせます。そして、学校と企業が連携した授業づくり(指導案、教材の作成など)を推進し、その成果の普及を図ります。
会津大学 福島県教育委員会 天地人プロジェクト~いざ科学のフィールドへ~  会津大学では、体験型学習をメインに、「どんな職業に就く場合でも、理数系教科や理数的(合理的・客観的)考え方が必要、有用であること」を実感させる取り組みを行います。
 メインとなる体験学習では、2009年4月に本学で発足した先端情報科学研究センター(CAIST)のテーマと人材(外国人教員含む)を活かし、天(宇宙)・地(地域)・人(医療)の各フィールドで職場体験をしてもらいます。
 そこでは、生き生きと働く大人の姿を見せ、夢や意欲を持って働く感動を味わわせ、夢を現実に近付けるためのより具体的なプランを描くことで、進路を考えさせることを狙いとします。
事前学習→見学・体験ツアー→自主性を重んじた事後学習→成果発表という流れの中、第一線で活躍する本学の若手研究者や年齢の近い大学生・院生に関わってもらい、中学生が数年後のイメージをふくらませやすくします。
 並行して、アンケートによる参加者の意識調査、保護者向けのサイエンス・カフェを数回行い、さまざまな角度から本申請の内容の深化を図かります。
 開発したプログラムの普及については、ウェブでの取り組み内容の公開や科学冊子などでの紹介を行います。
宮崎大学 宮崎市教育委員会 宮崎から発信!宮崎県ならではのプログラムパッケージ教材の開発  本プロジェクトでは、中学校の理科第1分野「電流とそのはたらき」についてのキャリア教育まで繋がる教材開発を主な目的としています。本プロジェクトで開発する教材については、新しい学習指導要領の目標および内容を十分踏まえた上で、宮崎県の産業や地域性などに関連付けながら、指導経験の少ない学校現場の教員に対して、分かりやすく指導方法の方向性を示すものです。
 そのために、指導経験の少ない中学校現場の教員に対して、指導上の疑問や問題点などについてのアンケートや聞き取り調査を行なって、中学校の現場で使用しやすい教材の開発を目指します。特に、1単位時間の授業の流れが分かりやすく示された教材内容とすると共に、必要な教材やワークシートなどを1つのプログラムパッケージとして提示することによって、宮崎県内の中学校に広く普及させることが大きな目標です。キャリア教育まで繋がる教材開発を行なう際は、中学校および大学、教育関係機関、地場企業との連携を図りながら検討を重ねて常に改善します。また、学習内容が実生活にどのように活用されているかが明確になるように工夫して、生徒の興味関心が高められるような教材開発を目指します。
立命館大学 京都市教育委員会 今を未来につなぐ「実感できる」理科教育プログラムの開発-最先端科学と伝統の交差する街、京都からの提言-  原体験の欠如は学ぶ意欲のみならず、その後の進路に大きな影響を与えています。京都の持つ伝統工芸と最先端科学の共存という特殊性を活かし、「科学技術の発展と人々の関わり」、「最新科学で捉えた匠の技」に触れることにより、日々の理科の学びが伝統工芸、また最先端科学の礎になっていることを実感させます。「実感」をキーワードとし、「日常生活や社会、職業とのつながりへの実感」、および「活かす実感による学ぶ目的意識の醸成」を本プログラムの目的とします。
 具体的には、伝統工芸、最先端科学の今昔物語を映像化し、現代科学に裏打ちされた伝統工芸の実態を示します。また、学習内容との関連を浮き彫りにさせるために、匠や地元企業、大学の研究者を招聘するなど実物に触れるチャンスを設けます。特に、中学生の学びの実態に配慮した模擬協同研究の提示やミニ製品化へのアドバイザー制度など、学ぶ意欲を喚起させる活動場面の創意工夫を図ります。
 本プログラムは、地域や学校の置かれた状況、またクラスの特殊性や生徒の個別性、さらには教員の授業プランに応じてさまざまな構成が可能な「自由度のある展開」を特色とします。参加生徒は、学びの具体的場面の記憶に留まらず、理科の授業内容についての「学ぶ価値」や「学ぶ意欲」が実感でき、将来理科系に進みたいという強い意志、さらには未来への確かな展望が持てるようにします。
秋田大学 秋田市教育委員会 理科大好き☆夢発見プロジェクト~人のからだ マクロからミクロ~  中学生に科学的思考萌芽や科学への興味喚起を促し、医療関係の職業についての理解を深め、将来理系分野へ進む生徒の増加を狙いとして、特に医学・生命科学・医療工学・薬学系の分野で活躍する人材を育成する教育プログラムの開発を秋田県内の中学校と共同で行います。背景には、秋田県が抱える医師不足、理系を選択する生徒数の減少、医工連携産業への県施策支援による地域活性化の期待などがあります。
 開発するテキストは、2年生「動物のからだのはたらき」分野(特に人体構造や血液)とし、人体の主要臓器の働きやその機能障害が引き起こす病気、各疾患の検査や治療、機能回復などを分かりやすく解説します。また血液検査などは化学や物理を原理とすることなどの医工連携技術へも理解を深めます。同時に、中学校理科室でできる実験手順を示したDVDを作成、外部講師の講義や人体の映像資料など、普段の学習では見る機会がない内容を盛り込み、授業でも利用できるよう普及を図ります。
 プログラム開発実践校の生徒へはキャリア教育として、医療系職業・機関の調べ学習や見学を通じて、これらの職業への知識を深め、理数系の学習だけでなく教養教育の学習も職業に関わることを理解してもらいます。
静岡大学 静岡市教育委員会 静岡発、「教科と学びの創造」のための感動・体験理数キャリア教育プロジェクト  自ら思考し判断することのできる生徒の育成を目指し、中学校での授業実践プログラムを開発し、実践します。
教科学習における実践プログラム開発の視点
・単元の学習内容が日常生活で活用されていることの理解を図る(学校から社会へ)。
・日常生活で使われている技術の理解を促す単元学習を意識する(社会から学校へ)。
・生徒が自らの学習を評価でき、フィードバックできる評価法の導入(ポートフォリオ)。
・企業のCSR部門や、研究室のアウトリーチとの連携(職業人、研究者の授業実践)。
プログラムの実践
・中学校において試行実践。
・さらに、中学校1・2校での実践とモデル化。
プログラムの普及
・実践方法、実践結果を冊子にまとめ、連携機関以外の教育委員会や関係機関に配付し、普及を図る。
・実践方法、実践結果を掲載するホームページを作成し、公開する。
・実施期間終了後もプログラムの改善をしつつ実践を継続し、さらなる普及に努める。