1.事業の趣旨
本事業は、社会・経済の変革につながるイノベーションを誘起するシステムの一環として、戦略的重点化した分野における目的基礎研究を推進し、今後の科学技術の発展や新産業の創出につながる革新的な新技術を創出することを目的としています。
2.事業の概要
国の科学技術政策や社会的・経済的ニーズを踏まえ、社会的インパクトの大きい目標(戦略目標)を国(文部科学省)が設定し、これをもとにJSTが推進すべき研究領域と研究領域の責任者である研究総括を定めます。研究総括は、戦略目標の達成へ向けて革新的技術シーズの創出を目指した目的基礎研究を推進します。
本事業のうち、「CREST」と「さきがけ」の両研究タイプでは、研究総括が研究領域をバーチャル・インスティテュートとして運営します。研究領域ごとに研究提案(研究課題)を募集し、この中から研究総括が領域アドバイザーなどの協力を得ながら選考・選定します。研究領域のもとで、選定された研究代表者が研究チームを編成し(CREST)、または研究者が個人で(さきがけ)、研究を推進します。
3.各研究タイプの概要と特徴
(1) 「CREST」の概要と特徴
a. 国が定める戦略目標の達成に向けて、先導的・独創的で国際的に高い水準の目的基礎研究を推進し、将来の新産業の創出に貢献しうる、革新的技術シーズを創出することを目的とします。得られる研究成果により今後の科学技術の発展に大きなインパクトを与え、社会貢献につなげることを目指しています。
b. 研究領域の責任者である研究総括が、産・学・官の各機関に分散して所在する研究者を総括し、研究領域をバーチャル・インスティテュートとして運営します。
c. 研究領域ごとに、研究提案(研究課題)を募集し、研究総括が領域アドバイザーなどの協力を得ながら選考・選定します。
d. 研究領域において、研究代表者は最適な研究チーム(数名~20名程度の研究者、研究補助者などの集団)を指揮して研究課題を実施します。研究代表者は、当該研究課題全体の研究実施に関する責任を負うことになります。
(2) 「さきがけ」の概要と特徴
a. 国が定める戦略目標のもとに設けられた研究領域において、研究総括の研究マネージメントのもと、選定された研究者の発想に基づいて研究を実施します。
b. 研究領域ごとに、研究提案(研究課題)を募集し、研究総括が領域アドバイザーなどの協力を得ながら選考・選定します。
c. 選定された研究者はその研究構想の実現に向けて、個人で研究課題を実施します。
4.各研究タイプの研究費や研究期間など
研究タイプ | 研究費 | 総額 | 研究期間注1) | 構成人数 |
---|---|---|---|---|
CREST | (種別I) 3千万円~5千万円程度/年 |
1.5~2.5億円程度 | 5年以内 | 数名~20名程度 |
(種別II) 6千万円~1億円程度/年 |
3~5億円程度注2) | |||
さきがけ注3) | (3年型) 1千万円程度/年 |
3~4千万円程度 | 3年 | 1名 |
(5年型) 1千万円~2千万円程度/年 |
5千万円~1億円程度 | 5年 | ||
さきがけ 大挑戦型 |
3年、5年型をベースとするが、研究進捗に応じた研究期間の延長(総期間で最長5年まで)・縮小や、研究費総額で2倍程度の増額を行う場合がある。 |
注1)研究終了時期は、研究実施の最終年の年度末となります。例えば、「CREST」に採択された場合は研究終了時期が平成27年3月末日、「さきがけ」に採択された場合で、研究期間が3年の課題は研究終了時期が平成25年3月末日、研究期間が5年の課題は研究終了時期が平成27年3月末日となります。
注2)研究内容によっては、より大きな規模の提案も受け付けます。
注3)「さきがけ」への研究提案は、研究期間を3年と5年の2種類から選択していただきます。大挑戦型では、提案書に審査希望の旨を明記した上で、所定の様式を提出することで、通常のさきがけの選考に加え、大挑戦型としての審査も受けることができます。なお、5年型および大挑戦型は、平成20年度、平成21年度発足領域が選択できます。
5.研究領域と募集期間
平成21年度募集で応募する研究領域と募集期間は、以下の通りです。
なお、「CREST」と「さきがけ」の両方に応募することはできません。
<CREST>
募集期間:平成21年3月17日(火)~5月19日(火)午前12時(正午)
戦略目標 | 研究領域 | 研究総括 | 研究領域 発足年度 |
---|---|---|---|
人間と調和する情報環境を実現する基盤技術の創出 | 共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築 | 東倉 洋一 (国立情報学研究所 副所長/教授) |
平成 21年度 (新規研究領域) |
異分野融合による自然光エネルギー変換材料及び利用基盤技術の創出 | 太陽光を利用した独創的クリーンエネルギー生成技術の創出 | 山口 真史 (豊田工業大学 大学院工学研究科 主担当教授) | |
神経細胞ネットワークの形成・動作の制御機構の解明 | 脳神経回路の形成・動作原理の解明と制御技術の創出 | 小澤 瀞司 (群馬大学 理事/副学長) | |
気候変動等により深刻化する水問題を緩和し持続可能な水利用を実現する革新的技術の創出 | 持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステム | 大垣 眞一郎 (東京大学 大学院工学系研究科 教授) 依田 幹雄(副研究総括) ((株) 日立製作所情報制御システム事業部 技術主管) | |
細胞リプログラミングに立脚した幹細胞作製・制御による革新的医療基盤技術の創出 | 人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製・制御等の医療基盤技術 | 須田 年生 (慶應義塾大学医学部 教授) |
平成 20年度 |
最先端レーザー等の新しい光を用いた物質材料科学、生命科学など先端科学のイノベーションへの展開 | 先端光源を駆使した光科学・光技術の融合展開 | 伊藤 正 (大阪大学 大学院基礎工学研究科 教授) | |
プロセスインテグレーションによる次世代ナノシステムの創製 | プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製 | 曽根 純一 (日本電気(株) 中央研究所 支配人) | |
プロセスインテグレーションに向けた高機能ナノ構造体の創出 | 入江 正浩 (立教大学 理学部化学科 教授) | ||
持続可能な社会に向けた温暖化抑制に関する革新的技術の創出 | 二酸化炭素排出抑制に資する革新的技術の創出 | 安井 至 (国際連合大学 名誉副学長/(独)科学技術振興機構研究開発戦略センター 上席フェロー) | |
花粉症をはじめとするアレルギー性疾患・自己免疫疾患等を克服する免疫制御療法の開発 | アレルギー疾患・自己免疫疾患などの発症機構と治療技術 | 菅村 和夫 (東北大学 大学院医学系研究科 教授) | |
精神・神経疾患の診断・治療法開発に向けた高次脳機能解明によるイノベーション創出 | 精神・神経疾患の分子病態理解に基づく診断・治療へ向けた新技術の創出 | 樋口 輝彦 (国立精神・神経センター 総長) |
平成 19年度 |
高信頼・高安全を保証する大規模集積システムの基盤技術の構築 | ディペンダブルVLSIシステムの基盤技術 | 浅井 彰二郎 ((株) リガク 取締役副社長) | |
新原理・新機能・新構造デバイス実現のための材料開拓とナノプロセス開発 | 次世代エレクトロニクスデバイスの創出に資する革新材料・プロセス研究 | 渡辺 久恒 ((株) 半導体先端テクノロジーズ 代表取締役社長) | |
社会的ニーズの高い課題の解決へ向けた数学/数理科学研究によるブレークスルーの探索(幅広い科学技術の研究分野との協働を軸として) | 数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索※ | 西浦 廉政 (北海道大学 電子科学研究所教授) |
<さきがけ>
募集期間:平成21年3月17日(火)~5月12日(火)午前12時(正午)
戦略目標 | 研究領域 | 研究総括 | 研究領域 発足年度 |
---|---|---|---|
人間と調和する情報環境を実現する基盤技術の創出 | 情報環境と人 | 石田 亨 (京都大学 大学院情報学研究科 教授) |
平成 21年度 (新規研究領域) |
異分野融合による自然光エネルギー変換材料及び利用基盤技術の創出 | 太陽光と光電変換機能 | 早瀬 修二 (九州工業大学 大学院生命体工学研究科 教授) | |
光エネルギーと物質変換 | 井上 晴夫 (首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 研究科長) | ||
神経細胞ネットワークの形成・動作の制御機構の解明 | 脳神経回路の形成・動作と制御 | 村上 富士夫 (大阪大学 大学院生命機能研究科 研究科長) | |
細胞リプログラミングに立脚した幹細胞作製・制御による革新的医療基盤技術の創出 | エピジェネティクスの制御と生命機能 | 向井 常博 (佐賀大学 理事/副学長) | |
iPS細胞と生命機能 | 西川 伸一 ((独)理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 副センター長) |
平成 20年度 | |
最先端レーザー等の新しい光を用いた物質材料科学、生命科学など先端科学のイノベーションへの展開 | 光の利用と物質材料・生命機能 | 増原 宏 (奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科 特任教授) | |
プロセスインテグレーションによる次世代ナノシステムの創製 | ナノシステムと機能創発 | 長田 義仁 ((独)理化学研究所 基幹研究所 副所長) | |
運動・判断の脳内情報を利用するための革新的要素技術の創出 | 脳情報の解読と制御 | 川人 光男 ((株) 国際電気通信基礎技術研究所(ATR) 脳情報研究所所長/ATRフェロー) | |
多様で大規模な情報から『知識』を生産・活用するための基盤技術の創出 | 知の創生と情報社会 | 中島 秀之 (公立はこだて未来大学 学長) | |
新原理・新機能・新構造デバイス実現のための材料開拓とナノプロセス開発 | 革新的次世代デバイスを目指す材料とプロセス | 佐藤 勝昭 (東京農工大学 大学院工学府特任教授) |
平成 19年度 |
社会的ニーズの高い課題の解決へ向けた数学/数理科学研究によるブレークスルーの探索(幅広い科学技術の研究分野との協働を軸として) | 数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索※ | 西浦 廉政 (北海道大学 電子科学研究所教授) | |
生命システムの動作原理の解明と活用のための基盤技術の創出 | 生命現象の革新モデルと展開 | 重定 南奈子 (同志社大学 文化情報学部教授) |
※研究領域「数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索」では、「CREST」と「さきがけ」の両方の研究提案を募集します。上記の通り、「CREST」と「さきがけ」で、研究提案の募集期間が異なりますのでご注意下さい。
6.研究提案の応募方法
平成21年度の応募は「府省共通研究開発管理システム(e-Rad)」により受け付けます。
府省共通研究開発管理システム(e-Rad)ポータルサイト
URL:http://www.e-rad.go.jp/
7.その他
今年度は、公募に際して事業全体の募集説明会の開催はありませんが、さきがけでは下記日程にて募集説明会を実施します。ご質問などは、「8.募集に関するお問い合わせ先」までご連絡ください。
パシフィコ横浜 会議センター3F304会議室(日本薬理学会第82回年会会場内)
立教大学 池袋キャンパス8号館8303教室(日本物理学会第64回年次大会会場内)
※3月28日(土)13:00~17:00に同学会会場内にブース出展
東京大学 駒場キャンパス13号館1323教室(日本数学会2009年度年会会場内)
※ 数学領域のさきがけ/CREST公募説明会
詳細はホームページ(https://www.jst.go.jp/kisoken/presto/)を参照してください。
8.募集に関するお問い合わせ先
独立行政法人 科学技術振興機構 戦略的創造事業本部 研究領域総合運営部・研究推進部
〒102-0075 東京都千代田区三番町5番地 三番町ビル
募集専用Tel:03-3512-3530
募集専用E-mail: