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別紙

平成20年度「日本-インド研究交流」採択課題一覧

課題名 日本側研究代表者 課題概要
インド側研究代表者
1 数理科学的手法による暗号アルゴリズム解析とネットワークセキュリティ強化評価 櫻井 幸一
(九州大学 教授)
 本研究交流は、暗号アルゴリズムとプロトコルの設計と解析、およびネットワークセキュリティでも数理解析的手法を必要とされる分野に焦点をあてる。日本側は、暗号アルゴリズムの設計や実装をはじめとするセキュリティ技術で先行しており、実際のシステムのモデル化を通じて、さまざまな環境における最適な暗号通信方式の確立を担当する。インド側は、数理統計をはじめとする理論解析の強みを生かし、日本側の設計した方式の安全性評価や、ネットワークにおける不正な攻撃者の挙動データの解析を行う。
Bimal Roy
(インド統計学研究所 教授)
2 RFIDとセンサネットワーク向け暗号基礎技術とそれを用いた構成要素の設計および安全性評価 渡辺 創
(産業技術総合研究所 研究員)
 本研究交流は、RFIDやセンサネットワーク/システムといった、制限された演算能力しか使えない環境において、高い情報セキュリティ機能と高い安全性を実現することを目指したものである。今回は特に、単純なハードウエアのみの利用や低電力消費といった要件を満たしつつ、高機能、高性能、高安全な技術開発を行う。
Sugata Gangopadhyay
(インド工科大学ルールキー 准教授)
3 次世代デバイスのためのナノスケール磁気ドメインのキャラクタリゼーション 越川 孝範
(大阪電気通信大学 教授)
 本研究交流は、大容量、超高速、不揮発性という3つの大きな特性を持ったSPRAMならびにMRAM開発の基礎になる研究を行うものである。インド側のナノ磁性構造の作製技術と、日本側の磁区特性測定法等を組み合わせ、研究目的の達成を目指している。
Bhunpendra Nath Dev
(インド科学発展協会 教授)
4 人工衛星レーダによるICTを利用した農業に関する先進情報システム 山口 芳雄
(新潟大学 教授)
 本研究は、人工衛星に搭載された最新の偏波合成開口レーダデータを利用して、農業に関する先進情報システムを構築することを目指すものである。特に土壌含水率、穀物の生育状況を把握し、その種類や収穫量を算出するシステムを目指す。インドでは、RISTを平成20年10月に打ち上げ、それらの衛星レーダのデータを使って、偏波情報により植物の種類や生育状況、土壌含水率を計ることができる。本研究交流では、これらのレーダデータと実地調査によって精度の良い先進農業情報システムの構築を目指す。
Dhamendra Singh
(インド工科大学ルールキー 准教授)
5 高出力ファイバ増幅器ならびにレーザのための希土類添加ダブルクラッド偏波保持フォトニック結晶ファイバの設計と作製 齊藤 晋聖
(北海道大学 准教授)
 本研究交流は、ダブルクラッド構造偏波保持フォトニック結晶ファイバに基づくファイバレーザやファイバ増幅器の高出力化、高性能化のために、有限要素法に基づく数値シミュレーション技術を駆使することにより最適なフォトニック結晶ファイバ構造とその設計指針を明らかにするとともに、それを実験的に実証することを目的とする。日本側の研究チームが、希土類元素添加フォトニック結晶ファイバレーザ・増幅器の性能向上のための設計、ならびに実験結果の設計へのフィードバックと構造最適化を担当する。また、インド側の研究チームが、ダブルクラッド構造偏波保持フォトニック結晶ファイバの作製を担当する。両研究チームが有するフォトニック結晶ファイバ研究に関する得意分野を融合させ、ファイバ増幅器や連続波レーザ、パルスレーザの更なる高出力化・高性能化を目指す。
Shyamal Bahdra
(中央ガラス・セラミック研究所 シニア研究者)
6 動的かつ階層的な暗号鍵割当方式の安全性証明と学際評価 松浦 幹太
(東京大学 准教授)
 社会的に応用の多い階層的アクセス制御方式では、鍵割当が動的な方式において、脆弱性発見とその改善が繰り返されている。これを本質的に解決するため、本研究交流は、動的方式に対応した証明可能安全性のモデルを開発し、代表的な動的方式に応用することを目指す。さらに、その社会的意義を経済学的アプローチで評価するなど、学際的評価によって研究成果の付加価値を高めることも目指す。インド側は動的アクセス制御方式の証明可能安全性のモデルを開発し、日本側はそのモデルの完成度を高める。さらに、日本側研究者の強みを活かして、学際的評価による付加価値向上を実現する。これら体系的評価を共同研究することにより、日印両国が将来にわたって体系的にモデル化と評価研究のアドバンテージを得られるようにする。
Anish Mathuria
(デルバニ・アンバニ情報通信研究所 教授)