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参考

社会技術研究開発事業について

1.事業の趣旨

 JST 社会技術研究開発センターは、社会の具体的な問題の解決を通して、新たな社会的・公共的価値の創出を目指します。社会問題の解決に取り組む関与者と研究者が協働するためのネットワークを構築し、競争的環境下で自然科学と人文・社会科学の知識を活用した研究開発を推進して、現実社会の具体的な問題解決に資する成果を得るとともに、得られた成果の社会への活用・展開を図ります。
 社会技術研究開発事業は、社会技術研究開発センターにおいて社会問題解決に重要と考えられる研究開発領域を設定し、領域ごとに研究開発プログラムを設定して提案を募集し、選定された研究開発プロジェクトを推進するものです。

2.事業の概要

(1)JSTは、社会問題解決を図る上で推進すべき研究開発領域を設定するとともに、領域ごとにその推進の責任者となる領域総括を指名します。
(2)領域ごとに研究開発プログラムを設定し、その目標を達成するための研究開発プロジェクトを募集し、領域総括が領域アドバイザーの協力などを得て選考します。
(3)研究開発プロジェクトは、領域総括のマネジメントのもと推進され、JSTが研究開発活動を支援します。
(4)研究開発プロジェクトの成果は可能な限り公開し、社会還元を図ります。
(5)採択された研究開発プロジェクトについて、評価を行います。

3.事業の特徴

(1)領域総括のマネジメントのもと、研究代表者など、研究開発の実施者が自ら所属する機関などにおいて、現実社会の諸問題の解決に向けた研究開発を推進します。
(2)研究代表者は問題解決に取り組む人々と研究者が協働する最適なチームを編成し、研究開発を実施します。
(3)研究代表者は当該研究開発プロジェクトの責任者として、リーダーシップを発揮して研究開発を推進して頂きます。

4.領域総括

 領域総括は、研究開発領域および研究開発プログラムの責任者であり、研究開発プロジェクトの選定、研究開発の計画(研究開発費、研究開発実施体制を含む)の調整、研究代表者との意見交換、研究開発への助言、その他必要な手段を通じて研究開発領域および研究開発プログラムのマネジメントを行います。

5.実施体制

a.本事業では、研究代表者を中心として研究開発を進めて頂きます。研究代表者には、自らの研究開発構想を実現するために、数名~20名程度からなる研究開発チーム(研究開発を行うため、問題解決に取り組む人々と研究者が協働する集団)を編成し、研究開発を実施して頂きます。
b.研究開発チームには、研究代表者の所属する機関の研究開発実施者のみならず、他の実施者が所属する機関などを含めることも可能です。
c.JSTは、研究代表者や他の実施者の所属する機関などと委託研究契約を締結します。
d.研究開発推進上の必要性に応じて、新たに研究者(外国人も可)、研究補助者等を研究開発費の範囲内で雇用し、研究開発チームに参加させることが可能です。
e.研究開発あるいは企画調査は、実施者の所属する機関を拠点として実施することを原則とします。

チーム構成(イメージ)

6.研究開発領域の設置期間、研究開発費

a.研究開発領域の設置期間は、事後評価のための期間を含め、発足年度から6年間の見込みです。研究開発プロジェクトの研究開発期間は、今回検討中の研究開発領域(教育・学習分野)では、原則として約3年間とする予定です(現行の研究開発領域では、最大5年間となっています)。
b.今回検討中の研究開発領域(教育・学習分野)では、研究開発費は、総額で20億円程度の見込みです(今後の予算の状況により変動する可能性があります)。
c.研究開発費は、原則としてその全額を委託研究費として、研究代表者および主たる実施者の所属する機関に執行して頂きます。委託研究費(直接経費)とは、当該研究開発の遂行に直接必要な経費であり、物品費、旅費、謝金など、研究開発成果発表費用、会議費、設備改造費、運搬費などの使途に支出することができます。
d.JSTは、直接経費に加え、当該委託研究に関して実施機関にて必要となる管理費などとして、直接経費に対する一定比率(30%を上限とする)の間接経費を別途措置して支払います。

7.研究開発プロジェクトの成果

 研究開発の成果として、何らかの知識を得ることに留まらず、社会の問題の解決のため、以下のいずれか(両方の場合もありえます)が求められます。

(1)問題解決のための選択肢を提示することや政策提言をすること。
(2)問題解決のための技術・手法を開発し実証すること(期間中にPDCAサイクルを最低一回まわす)。

8.評価など

(1)研究開発プロジェクトの評価
a.領域総括は、研究開発の進捗状況や成果を常時把握し、研究開発計画などにフィードバックします。
b.研究開発開始後適当な時期に中間評価を実施することがあります。中間評価は評価委員会により、プロジェクトの進捗状況および成果の現状、今後の見込みについて評価を行います。
c.中間評価の結果に基づき、研究開発の計画の見直し(中止、あるいは、予算及び研究開発実施体制の修正)を行って頂くことがあります。
d.研究開発終了後、評価委員会により事後評価を行います。
e.中間評価および事後評価は、当該領域にかかわる専門家による専門的観点からの評価 (ピアレビュー)と、得られた研究開発の成果が投入された資源(資金、人)に対して十分見合ったものであるかという視点での妥当性、社会的意義・効果に関する評価(アカウンタビリティ評価)により行います。
(2)研究開発領域などの評価
 個別研究開発プロジェクトの評価とは別に、研究開発領域などを対象とした評価を行います。研究開発領域の目標の達成へ向けての進捗状況、運営状況などの観点から評価を実施します。