開発を終了した課題の評価
課題名 | 「統合失調症の検査キット」 | ||||
原特許権利者 | 国立大学法人新潟大学 独立行政法人科学技術振興機構 | ||||
原特許発明者 | 新潟大学教授 那波 宏之 | ||||
委託企業 | 株式会社エスアールエル | ||||
開発費 | 約3億3100万円 | ||||
開発期間 | 平成15年3月~平成20年3月 | ||||
評価 |
本新技術は、統合失調症の診断を支援する検査キットの開発に関するものである。 統合失調症は人口の約0.8%が発症し、慢性化して通常の社会生活が営めなくなる例が少なくない。一方、心理症候学的診断基準で複数の病型に分類されるが、最終的な診断は担当医の経験に依るところが大きい。症状が慢性化する前に治療を開始すれば治療効果が向上するため、客観的なデータで早期診断を支援する手法が求められていた。 臨床検査機関における実用化を前提とする場合、採血後測定までの運搬・保存による影響まで考慮する必要がある。本新技術では1)マーカーとなる血清中サイトカイン類のELISA測定法、2)プロテインチップを用いた血清たんぱく質の網羅的解析法、および3)全血由来RNAのDNAマイクロアレイによる解析法、をそれぞれ確立し、各々について実際の現場を想定して臨床検体を用いた検討を行った。この結果、DNAマイクロアレイの測定結果を用いて分類予測を行えば、80%以上の真陽性率および真陰性率で健常人と統合失調症患者(初発)を判別できることが分かり、設定した成否認定基準を達成したものと評価できる。 抽出された遺伝子の多くが臨床医学的にも意味があったことは、スクリーニングが有意義であった結果だと考えられる。本検査キットは統合失調症診断の支援ツールとして活用することにより、客観的データに支えられた早期診断および早期治療が実現され、統合失調症患者の重症化回避や治癒率向上が期待される。 | ||||
評価者 | 独創的シーズ展開事業 委託開発
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評価日 | 平成20年4月25日 |