JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第526号 > <用語説明>

<用語説明>

注1)SPECT
 単一光子放射断層撮影(Single photon emission computed tomography)の略で画像診断法の1つ。体内に投与した放射性同位体から放出されるガンマ線を検出し、その分布を断層画像にする手法。PETと同じく、生体の機能を観察することを目的に使われ、脳血管障害、心臓病、がんの早期発見に有効とされます。PETと異なり、商用供給の放射性同位体を使用することができるため、サイクロトロンなどが必要で設備がコスト高なPETに比べて安価で取り扱いが容易ですが、PETに比べて感度が悪く、画像が不鮮明になる傾向があります。放射性医薬品から発せられる放射線を検知して画像化するため、PETとともに核医学検査とも言われます。

注2)PET
 ポジトロン断層法(positron emission tomography)の略で、陽電子検出を利用したコンピューター断層撮影技術のことです。近年、腫瘍組織における糖代謝レベルの上昇を検出することによりがんの診断に利用されるようになりました。患者への被曝量はCTに比べて少なく、CTとPETを比較すると、CTでは外部からX線を照射して全体像を観察しているのに対して、PETなどの核医学検査では生体内部の放射性トレーサーを観察しているという違いがあります。CT像は解剖学的な情報に優れているので形態画像と呼ばれ、PET像は生理学的な情報収集にすぐれているので機能画像と呼ばれます。

注3)獣医療分野と核医学検査
 近年のコンパニオンアニマルの高齢化に伴って、腫瘍、心臓疾患、痴呆症などの加齢性の疾患が増加しています。特に、盲導犬や介助犬のような有益な動物の需要が増えるにつれて、コンパニオンアニマルの医療にも高度医療が求められており、獣医師が動物の診療を通じて人間の福祉に役割を果たす場面が増えています。
 このような背景から、欧米をはじめとした先進諸国では、獣医核医学検査が広く行われていますが、日本においては関連法が未整備のため、獣医核医学検査は行われていません。このような中、日本においても、今後1、2年内に獣医核医学検査認可の動きが加速すると言われており、SPECTなどの核医学検査装置を用いた獣医療が本格化する可能性は高いと考えています。