開発を終了した課題の評価
課題名 | 「可視化遺伝子診断キット」 | ||||
所有者 | 独立行政法人科学技術振興機構 | ||||
研究者 | 浜松医科大学教授 椙村 春彦 | ||||
委託企業 | 株式会社常光 | ||||
開発費 | 約1億2300万円 | ||||
開発期間 | 平成16年3月~平成19年9月 | ||||
評価 |
本新技術は、がん遺伝子の増幅とがん細胞が産生するたんぱく質を病理切片上で同時に染色し、それぞれを検出する手法の実用化に関するものである。 ヒトゲノムの全解析が完了した現在は、その成果の活用が求められる時代となっている。がん治療への応用はもっとも進んだ分野の一つであり、すでに乳がんに適用する抗がん剤(ハーセプチン)で実用化が始まっている。これらの"ゲノム創薬"は、特定の遺伝子が過剰に増幅したがんに対してのみ有効である。従って、本技術によるがん関連遺伝子の異常増幅診断は、次世代がん治療の中核の一つを成すゲノム創薬を有効活用するにおいて重要な役割を果たす。 古典的ながん診断である免疫組織化学法(以下IHC法)は、増幅量が中程度の試料では診断の確定が難しいという問題があった。一方、がん関連遺伝子の異常増幅を直接測定するFISH法は、検査工程が複雑である、標本の長期保存ができないなどの問題があった。 本開発では、DNAプローブを用いてジゴキシゲニン標識したHER-2/neu遺伝子を、二次抗体を利用して染色することにより、IHC法とFISH法の両方の長所を兼ね備えた遺伝子検出法を確立した。IHC法と併用すれば、組織形態と遺伝子異常型を光学顕微鏡によって同時に観察することが可能になる。 これらの結果から、HER-2/neu遺伝子に関連した乳がんを簡便に診断する可視化遺伝子診断キットの開発を成功と判断するのが妥当であると考える。今後、別種のがんに対するDNAプローブを作製すれば乳がん以外のがんの診断に適用することも可能であることから、ゲノム創薬の実用化を支える技術の一つとして利用が期待される。 | ||||
評価者 | 独創的シーズ展開事業 委託開発
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評価日 | 平成19年12月5日 |