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別紙2

研究開発プログラムの概要

 以下は概要です。応募にあたっては、必ず募集要項の研究開発プログラムに関する記載をお読みください。

1「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」

 地球温暖化と大規模な気候変動の危機の解決は、私たち人類の活動が環境と共生しえない水準に達したことから発生している多様な問題の中でも、最も重要な課題の1つとなっています。
 しかし、脱温暖化に向けた取り組みでは、観測や分析、新しいエネルギーなどの先端的な技術の開発を進めることに重きが置かれ、技術を私たちの生活の中に生かしていく方法を、社会のシステムも含めて見直そうとする試みはあまり実施されてきませんでした。
 また、環境破壊や都市への集中が引き起こす過疎や地域の活力低下などの問題も、地球温暖化問題と同様、私たち人類の活動の急激な変化によるものですが、これまで環境共生や地域再生の取り組みと脱温暖化に向けた取り組みの間には十分な連携はありませんでした。
 「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」では、脱温暖化に関する課題を、技術だけではなく自然環境や社会制度、地域再生を含む統合的な問題として科学的に整理・分析し、本格的な解決の方向を見出していくことを目指します。そのために、科学技術と社会との対話をうながし、新しい取り組みや提言につながる、地域に根ざした実践的な研究開発プロジェクトを推進します。

2「犯罪からの子どもの安全」

 子どもを取りまく環境が社会とともに大きく変化する中、子どもが犯罪に巻きこまれる事件の発生を受け、国をはじめとして、防犯の観点から地域で子どもを守る取り組みが家庭や学校、地域住民、自治体、NPO、企業などによって行われています。
 しかし、現状では、目の前にいる子どもの安全を守るための個別の取り組みが、試行錯誤的に実施されているにすぎず、有効で継続的な取り組みには至っていないと、多くの関係者は問題を指摘しています。
 「犯罪からの子どもの安全」では、現場で問題解決に取り組む人たちと研究者の協同作業として、防犯対策に科学的な知見や手法を導入するとともに、社会に役立つ効果的で持続的な取り組みとなるよう、多くの関与者に開かれたネットワークをつくり、優れた研究開発プログラムを推進します。

3「科学技術と社会の相互作用」

 今日、科学技術の成果が社会に広く浸透し、人々の生活に大きく影響する事態が科学技術と社会の間に生じていることを正確に把握し、科学技術と社会の双方が適切に対処していく、あるいは、自己変革していくことが課題となっています。
 特に、今後の科学技術の研究開発のあり方や成果の社会における受容と活用のあり方について、いかにして適切な評価や意思決定を行っていくか、社会的・政策的課題に関する意思決定や問題解決において科学技術の知見をいかに活用するかということが重要な課題となっています。
 「科学技術と社会の相互作用」では、科学技術と社会の間に生ずる問題について、関与者が協働して評価・意思決定し、対処する方法およびシステムを構築すること、社会との相互作用を通した科学技術の変容の実態と課題を把握し、対応方策を提言することにつながる研究開発を推進します。