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科学技術振興機構報 第496号

平成20年3月18日

東京都千代田区四番町5番地3
科学技術振興機構(JST)
Tel:03-5214-8404(広報課)
URL https://www.jst.go.jp

戦略的創造研究推進事業(CREST、さきがけ)における
平成20年度新規研究領域と研究総括の決定、
および平成20年度研究提案の募集について(第2期)

 JST(理事長 北澤 宏一)は、平成20年度に文部科学省が設定した戦略目標を受け、戦略的創造研究推進事業 (「CREST」および「さきがけ」)において、9つの新たな研究領域とその研究総括を決定しました。ついては、平成20年度の研究提案募集(「iPS細胞」研究領域以外)を平成20年3月18日(火)から開始します。
 本事業は、社会・経済の変革につながるイノベーションを生み出すシステムの一環として、戦略的重点化した分野における目的基礎研究を推進し、今後の科学技術の発展や新産業の創出につながる、革新的な新技術の創出を目指すものです。
 今回、新たに加わる研究領域は、CRESTが、「先端光源を駆使した光科学・光技術の融合展開」(伊藤 正 研究総括)、「プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製」(曽根 純一 研究総括)、「プロセスインテグレーションに向けた高機能ナノ構造体の創出」(入江 正浩 研究総括)、「二酸化炭素排出抑制に資する革新的技術の創出」(安井 至 研究総括)、「アレルギー疾患・自己免疫疾患などの発症機構と治療技術」(菅村 和夫 研究総括)の5領域、さきがけが、「光の利用と物質材料・生命機能」(増原 宏 研究総括)、「ナノシステムと機能創発」(横山 浩 研究総括)、「脳情報の解読と制御」(川人 光男 研究総括)、「知の創生と情報社会」(中島 秀之 研究総括)の4領域であり、既存の14領域とあわせ、合計23領域において募集を行います。

1.事業の趣旨

 本事業は、社会・経済の変革につながるイノベーションを誘起するシステムの一環として、戦略的重点化した分野における目的基礎研究を推進し、今後の科学技術の発展や新産業の創出につながる革新的な新技術を創出することを目的としています。

2.事業の概要

 国の科学技術政策や社会的・経済的ニーズを踏まえ、社会的インパクトの大きい目標(戦略目標)を国(文部科学省)が設定し、これをもとにJSTが推進すべき研究領域と、研究領域の責任者である研究総括を定めます。研究総括は、戦略目標の達成へ向けて革新的技術シーズの創出を目指した目的基礎研究を推進します。
 本事業のうち、「CREST」と「さきがけ」の両研究タイプでは、研究総括が研究領域をバーチャル・インスティテュートとして運営します。研究領域ごとに研究提案(研究課題)を募集し、この中から研究総括が領域アドバイザーなどの協力を得ながら選考・選定します。研究領域のもとで、選定された研究代表者が研究チームを編成し(CREST)、または研究者が個人で(さきがけ)、研究を推進します。

3.各研究タイプの概要と特徴

(1) 「CREST」の概要と特徴

a. 国が定める戦略目標の達成に向けて、先導的・独創的で国際的に高い水準の目的基礎研究を推進し、将来の新産業の創出に貢献しうる、革新的技術シーズを創出することを目的とします。得られる研究成果により今後の科学技術の発展に大きなインパクトを与え、社会貢献につなげることを目指しています。

b. 研究領域の責任者である研究総括が、産・学・官の各機関に分散して所在する研究者を総括し、研究領域をバーチャル・インスティテュートとして運営します。

c. 研究領域ごとに、研究提案(研究課題)を募集し、研究総括が領域アドバイザー等の協力を得ながら選考・選定します。

d. 研究領域において、研究代表者は最適な研究チーム(数名~20名程度の研究者、研究補助者などの集団)を指揮して研究課題を実施します。研究代表者は、当該研究課題全体の研究実施に関する責任を負うことになります。

(2) 「さきがけ」の概要と特徴

a. 国が定める戦略目標のもとに設けられた研究領域において、研究総括の研究マネージメントのもと、選定された研究者の発想に基づいて研究を実施します。

b. 研究領域ごとに、研究提案(研究課題)を募集し、研究総括が領域アドバイザーなどの協力を得ながら選考・選定します。

c. 選定された研究者はその研究構想の実現に向けて、個人で研究課題を実施します。


4.各研究タイプの研究費や研究期間など

研究タイプ 研究費 総額 研究期間1) 構成人数
CREST (種別 I )
3千万円~
5千万円程度/年
1.5~
2.5億円程度
5年以内 数名~20名
程度
(種別 II )
6千万円~ 1億円程度/年
3~5億円程度2)
さきがけ3) 1千万円程度/年 3~4千万円程度 3年 1名
1千万円~
2千万円程度/年
5千万円~
1億円程度
5年

1) 研究終了時期は、研究実施の最終年の年度末となります。例えば、「CREST」に採択された場合は研究終了時期が平成26年3月末日、「さきがけ」に採択された場合で、研究期間が3年の課題は研究終了時期が平成24年3月末日、研究期間が5年の課題は研究終了時期が平成26年3月末日となります。

2) 研究内容によっては、より大きな規模の提案も受け付けます。

3) 「さきがけ」への研究提案は、研究期間を3年と5年の2種類から選択していただきます。なお、5年の研究期間は平成20年度発足領域のみ選択できます。


5.研究領域と募集期間

平成20年度第2期募集で応募する研究領域と募集期間は、以下のとおりです。
なお、「CREST」と「さきがけ」の両方に応募することは、できません。

<CREST>
募集期間:平成20年3月18日(火)~5月15日(木)午前12時(正午)

戦略目標 研究領域 研究総括 研究領域発足年度
最先端レーザー等の新しい光を用いた物質材料科学、生命科学など先端科学のイノベーションへの展開 先端光源を駆使した光科学・光技術の融合展開 伊藤 正
(大阪大学 大学院基礎工学研究科 教授)
平成20年度(新研究領域)(※1)
プロセスインテグレーションによる次世代ナノシステムの創製 プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製 曽根 純一
(日本電気(株)中央研究所 支配人)
プロセスインテグレーションに向けた高機能ナノ構造体の創出 入江 正浩
(立教大学 理学部化学科 教授)
持続可能な社会に向けた温暖化抑制に関する革新的技術の創出 二酸化炭素排出抑制に資する革新的技術の創出 安井 至
(国際連合大学 名誉副学長/(独)科学技術振興機構 研究開発戦略センター シニアフェロー)
花粉症をはじめとするアレルギー性疾患・自己免疫疾患等を克服する免疫制御療法の開発 アレルギー疾患・自己免疫疾患などの発症機構と治療技術 菅村 和夫
(東北大学 大学院医学系研究科 教授)
精神・神経疾患の診断・治療法開発に向けた高次脳機能解明によるイノベーション創出 精神・神経疾患の分子病態理解に基づく診断・治療へ向けた新技術の創出 樋口 輝彦
(国立精神・神経センター 総長)
平成19年度
高信頼・高安全を保証する大規模集積システムの基盤技術の構築 ディペンダブルVLSIシステムの基盤技術 浅井 彰二郎
((株)リガク 取締役副社長)
新原理・新機能・新構造デバイス実現のための材料開拓とナノプロセス開発 次世代エレクトロニクスデバイスの創出に資する革新材料・プロセス研究 渡辺 久恒
((株)半導体先端テクノロジーズ 代表取締役社長)
社会的ニーズの高い課題の解決へ向けた数学/数理科学研究によるブレークスルーの探索(幅広い科学技術の研究分野との協働を軸として) 数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索(※2 西浦 廉政
(北海道大学 電子科学研究所 教授)
高セキュリティ・高信頼性・高性能を実現する組込みシステム用の次世代基盤技術の創出 実用化を目指した組込みシステム用ディペンダブル・オペレーティングシステム 所 眞理雄
(ソニー(株) 業務執行役員SVP、(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長)
村岡 洋一(副総括)
(早稲田大学 理工学術院 教授)
平成18年度
異種材料・異種物質状態間の高機能接合界面を実現する革新的ナノ界面技術の創出とその応用 ナノ界面技術の基盤構築 新海 征治
(九州大学 大学院工学研究院 教授)
ナノデバイスやナノ材料の高効率製造及びナノスケール科学による製造技術の革新に関する基盤の構築 ナノ科学を基盤とした革新的製造技術の創成 堀池 靖浩
((独)物質・材料研究機構 フェロー)

<さきがけ>
募集期間:平成20年3月18日(火)~5月13日(火)午前12時(正午)

戦略目標 研究領域 研究総括 研究領域発足年度
最先端レーザー等の新しい光を用いた物質材料科学、生命科学など先端科学のイノベーションへの展開 光の利用と物質材料・生命機能 増原 宏
(奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科 客員教授)
平成20年度(新研究領域)(※1)
プロセスインテグレーションによる次世代ナノシステムの創製 ナノシステムと機能創発 横山 浩
((独)産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門長)
運動・判断の脳内情報を利用するための革新的要素技術の創出 脳情報の解読と制御 川人 光男
((株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR) 脳情報研究所所長/ATRフェロー)
多様で大規模な情報から『知識』を生産・活用するための基盤技術の創出 知の創生と情報社会 中島 秀之
(公立はこだて未来大学 学長)
新原理・新機能・新構造デバイス実現のための材料開拓とナノプロセス開発 革新的次世代デバイスを目指す材料とプロセス 佐藤 勝昭
(東京農工大学 大学院工学府 特任教授)
平成19年度
社会的ニーズの高い課題の解決へ向けた数学/数理科学研究によるブレークスルーの探索(幅広い科学技術の研究分野との協働を軸として) 数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索(※2 西浦 廉政
(北海道大学 電子科学研究所 教授)
生命システムの動作原理の解明と活用のための基盤技術の創出 生命現象の革新モデルと展開 重定 南奈子
(同志社大学 文化情報学部 教授)
生命システムの動作原理と基盤技術(※3 中西 重忠
((財)大阪バイオサイエンス研究所 所長)
平成18年度
医療応用等に資するRNA分子活用技術(RNAテクノロジー)の確立 RNAと生体機能 野本 明男
(東京大学 大学院医学系研究科 教授)
異種材料・異種物質状態間の高機能接合界面を実現する革新的ナノ界面技術の創出とその応用 界面の構造と制御 川合 眞紀
(東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授、(独)理化学研究所 川合表面化学研究室 主任研究員)
ナノデバイスやナノ材料の高効率製造及びナノスケール科学による製造技術の革新に関する基盤の構築 ナノ製造技術の探索と展開 横山 直樹
((株)富士通研究所 フェロー・ナノテクノロジー研究センター長)
光の究極的及び局所的制御とその応用 物質と光作用 筒井 哲夫
(九州大学 先導物質化学研究所 教授)
(※1)平成20年度新研究領域のうち、CREST「人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製・制御等の医療基盤技術」および、さきがけ「iPS細胞と生命機能」の平成20年度募集・選考は終了しました。
(※2)研究領域「数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索」では、平成20年度より、「CREST」と「さきがけ」の両方の研究提案を募集します。上記の通り、「CREST」と「さきがけ」で、研究提案の募集期間が異なりますので、ご注意ください。
(※3)研究領域「生命システムの動作原理と基盤技術」では、「さきがけ」のみで研究提案を募集します(「CREST」では研究提案の募集は行いません)。

6.研究提案の応募方法

平成20年度の応募は「府省共通研究開発管理システム(e-Rad)」により受け付けます。
 府省共通研究開発管理システム(e-Rad)ポータルサイト
 URL http://www.e-rad.go.jp/

7.その他

 今年度は、公募に際して事業全体の募集説明会の開催はありません。ご質問などは、「8.お問い合わせ先」までご連絡ください。

8.お問い合わせ先

独立行政法人 科学技術振興機構 戦略的創造事業本部
研究領域総合運営部・研究推進部
〒102-0075 東京都千代田区三番町5番地 三番町ビル
募集専用Tel:03-3512-3530
募集専用E-mail:


詳細はホームページ(https://www.jst.go.jp/kisoken/teian.html)をご参照ください。