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別紙3

平成20年度 機器開発プログラム
「領域特定型」の開発領域について


1.【一般領域】非侵襲的バイオ計測・イメージング手法による生体内単一細胞の応答情報計測

(概要)
 バイオ計測やバイオイメージングの手法を用いて、生体を傷つけることなく、生体内における単一細胞の応答現象を計測分析する機器を開発する課題を公募する。

(期待される効果の例)
・細胞レベルの機能と細胞内物質動態との相関関係が解明され、細胞の変異機構、並びにその固定化に対する生体内微小環境要因計測法の開発が期待でき、さらにそれにより、がんおよびその他疾病の発生機構の解明と細胞医学の発展に貢献することが期待できる。
・個体発生における細胞動態の分子調節機能を解明することができ、個体内特定細胞の再生・老化メカニズムの解明と再生医療や脳の老化研究の発展に貢献することが期待できる。
・細胞レベルでの局所応答計測技術の開発によって、細胞の有する生命機能の理解が深まり、個体細胞生物学という新しい学問領域の創出が期待できる。

2.【一般領域】地球環境問題に関わる環境物質のオンライン多元計測・分析システム

(概要)
 温暖化等を含む地球・広域環境問題において重要な物質ならびに環境物質について、その成分や物理化学特性などの多元情報を、オンライン(実時間)かつ定量的に計測・分析する機器を開発する課題を公募する。

(期待される効果の例)
・大気中の微粒子(エアロゾル)等の組成や光学特性が把握され、その地球環境変動に果たす役割の解明および気候変動予測の新たな発展に貢献することが期待される。
・小型・可搬ならびに車載型機器およびセンサーによる環境物質の広域モニタリングにより、地球温暖化の抑制、酸性雨の防止などの環境政策に貢献することが期待される。
・人間活動が著しい地域(アジア)においては、地球環境問題の原因物質が同時に深刻な健康阻害因子となるため、地域レベルの大気汚染問題の原因解明・対策への貢献が期待できる。

3.【応用領域】機能材料・デバイスのマクロからナノレベルに至る構造と組成・状態のシームレス分析計測

(概要)
 ナノレベルからサブミクロン、マクロに至るダイナミックレンジを有し、種々の目的に応じて組成・構造・状態をキャラクタライズできるシームレスな計測分析する機器を開発する課題を公募する。

(期待される効果の例)
・計測分析対象領域のサイズや生起している現象および元素の種類等を意識せず、原子レベル、ナノレベルから、サブミクロン、マクロレベルとシームレスに計測分析することにより、研究開発のスピードが格段に速くなることが期待できる。
・デバイスを構成する薄膜や細線、極微小粒子等の組織や構造体のキャラクタリゼーションが確立されることにより、高度なデバイスの開発が期待できる。
・機能材料やデバイス材料の生産条件等へのフィードバックにより、生産工程での歩留まりや品質の向上が期待できる。

4.【応用領域】知覚(視覚)機能を考慮した材料および製品の性状・品質評価計測

(概要)
 人間の知覚(視覚)による評価・判断機能を解明するために、脳内メカニズムに基づく必要情報量や情報の質を特定し、人間の視覚機能に迫る材料および製品の評価のための計測機器を開発する課題を公募する。

(期待される効果の例)
・現在、依然として人間の目に頼っている製品製造時の性状・品質等における欠陥検査の高速化、効率化が期待できる。
・視覚認知を考慮した製品の安全・安心設計の構築が期待できる。
・全く新しい原理に基づく視覚効果(高級感、綺麗さ等)を向上させた新製品の開発が期待できる。