開発を終了した課題の評価
課題名 | 「歯科インプラント手術用骨上ステント」 | ||||
所有者 | 国立大学法人大阪大学、和田精密歯研株式会社 | ||||
研究者 | 国立大学法人大阪大学 大学院 歯学研究科 教授 荘村泰治 | ||||
委託企業 | 和田精密歯研株式会社 | ||||
開発費 | 約131百万円 | ||||
開発期間 | 平成16年10月~平成19年10月 | ||||
評価 |
本新技術は、歯科インプラント手術時に、人工歯根を骨内の最適な位置に導くために顎骨上に固定するステント(サージカルガイド)に関するものである。 近年、歯が欠損した場合や両隣に歯がない場合の治療法として、歯科インプラント手術が注目を集めている。しかし、歯科医師の勘と経験による手技に頼る手術のために医療事故が増えており、手術の安全性を高める支援システムが要望されていた。その一例として人工歯根植立用のドリルを正しい位置に導くサージカルガイドがあるが、従来のガイドは歯肉形状を基に設計されるため、実際の手術で歯肉を剥いで骨に固定する際にずれが生じるなどの問題があった。 本新技術は、顎骨部のCT画像の3次元化したデータを用いることにより、患者ごとに骨の構造を診断し、最適な位置にサージカルガイドを設計することを特徴とする。CT撮影時に、口腔内の金属修復物によりアーチファクトによるノイズが発生してCT画像が乱れるため、アーチファクトを除去するための撮影方法及び画像処理システムを構築した。また、コンピュータ上で顎骨部の骨密度等を診断しながら位置をシミュレーションし、人工歯根を最適位置に導くサージカルガイドの設計方法を開発した。さらに、RP(ラピッドプロトタイピング)技術により、3次元CAD設計データから高精度にサージカルガイドを造形する方法を確立した。これらの開発により、目標を上回る高い製作精度を達成した。 本新技術により、歯科医師はサージカルガイドを患者の骨面に装着してドリルを立てるだけでシミュレーションどおりの正確な位置にインプラント手術を行えるようになるため、歯科インプラント手術の安全性向上に大きく貢献する。さらに、本新技術により製作される顎骨模型やサージカルガイドは、歯科医師への手術シミュレーションの教育や患者への術前説明としても活用が期待される。 | ||||
評価者 | 独創的シーズ展開事業 委託開発
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評価日 | 平成19年12月25日 |