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<用語解説>

注1)核磁気共鳴スペクトル(NMR)
 原子核のスピンによる磁気共鳴によって、物質中の原子配置、電子構造、分子の構造などに関する情報を得ることができる手法です。

注2)NMRケミカルシフト
 原子核の周りの電子が核の磁気を遮蔽している程度を表す物理量です。通常は基準物質を測定したものからの差を用いて、その程度を表現します。量子化学の手法を用いて、この物理量を計算することができます。

注3)フラグメント分子軌道(FMO)法
 一度に計算できないような巨大分子の波動関数を求める方法で、産総研の北浦 和夫らによって開発された方法です。まず大きな分子をN個のフラグメントに分割し、その分子軌道を個別に求めます。次に、N-1個のフラグメントを固定し、その影響下にある1つのフラグメントを計算します。次に、新たにN-1個を固定し、次のフラグメントを改良します。これを繰りかえし、計算しても変化がなくなった状態を融合させると、全体の分子軌道を一度に求めたものと同等になります。