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別紙2

平成19年度第一回2次 委託開発の採択課題の内容


課題名 急性脳梗塞治療における経頭蓋超音波脳血栓溶解装置
新技術の代表研究者 東京慈恵会医科大学 教授 古幡 博
開発実施企業 株式会社日立メディコ
新技術の内容
 本新技術は、急性期脳血栓塞栓症患者への血栓溶解剤の投与時に、塞栓部へ向けて無侵襲的かつ限局的に超音波を照射し、脳血栓の早期溶解、急速再開通を図る、塞栓部標的型の経頭蓋超音波脳血栓溶解装置に関するものである。主な構成は、比較的低い周波数の超音波を血栓に照射する治療ユニットと、高い周波数の超音波で血流分布を詳細にモニターする診断ユニット、および両超音波を同一面で送受信する複合プローブから成り、診断画像ガイドにより治療と経過観察を行うことを可能にする。
 従来の血栓溶解療法と併用することにより、溶解剤の効能を超音波振動で促進し、閉塞血管の再開通率の向上による予後の効果改善が期待される。

課題名 咀嚼能力評価システム
新技術の代表研究者 大阪大学先端科学イノベーションセンター 特任教授 野首 孝祠
開発実施企業 ユーハ味覚糖株式会社
新技術の内容
 本新技術は、簡単に精度の高い咀嚼能力の測定・評価が実施できる汎用評価システムに関するものである。
 従来、咀嚼能力はピーナッツによる篩い分け法により約1時間かけて検査してきた。
 本新技術では、グミを規定数咀嚼し、グミの咬断表面から溶出する天然由来色素成分を測定することにより咀嚼能力を評価する。咀嚼後のグミの水洗や成分溶出、検査の工程を自動化するための専用装置を製作し、測定時間を2分程度にまで短縮することが可能となる。これにより、歯科医療分野における治療前後の咀嚼機能評価への支援や、健康管理や介護の分野における体と口の健康管理への活用が期待される。

課題名 消化管機能亢進作用を有する機能性食品
新技術の代表研究者 岐阜薬科大学薬効解析学研究室 教授 原 英彰
開発実施企業 アピ株式会社
新技術の内容
 本新技術は、東南アジア原産のジンチョウゲ科植物葉部を原料とし、持続的な便秘改善作用がある主要な成分「ゲンクワニン配糖体」を含む機能性食品に関するものである。
 従来の便秘薬には副作用(下痢や腹痛)を伴うものが多く、一方で健康食品としての便秘改善食品には効果が少ないという問題があった。
 本新技術では、先に同植物のエキスとしてゲンクワニン配糖体を大量に抽出する手法を確立する。その後同エキスの、安全性と、便秘を改善する一方で副作用が少なく効果が穏やかという特徴を臨床試験を通して立証し、特定保健用食品表示許可の取得を目標とする。これにより女性の約半数、総高齢者の大半が悩むといわれる便秘の予防改善が期待できる。

課題名 超電導体利用半導体製造用スピン処理装置
新技術の代表研究者 新潟大学大学院自然科学科 准教授 福井 聡
開発実施企業 株式会社エムテーシー
新技術の内容
 本新技術は、超電導体利用の磁気浮上回転駆動方式を用いた半導体用フォトマスク製造用スピン処理装置に関するものである。
 従来のフォトマスク製造における洗浄工程等で使用されるスピン処理装置は機械的軸受を使用しているため、汚染粒子の発生が大きな問題となっている。
 本新技術は、フォトマスク(被加工物)を搭載する回転テーブルに浮上用および駆動用の永久磁石を装備し、固定台座側の浮上用超電導バルク体および駆動用電機子コイルの制御により回転テーブルを浮上、回転させる。
 非接触で回転駆動する方式のため、汚染粒子の発生が大幅に低減でき、パターン幅36nm世代以降の半導体製造に必要とされる極めて低発塵で、欠陥の少ないフォトマスクの製造が可能になることが期待される。