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資料5

評価者(選考パネル)及び評価

研究総括:
五十嵐 健夫(東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授)
研究領域:
デザインインタフェース
戦略目標:
メディア芸術の創造の高度化を支える先進的科学技術の創出
選考パネル:
パネルオフィサー 青山 友紀(慶應義塾大学デジタルメディアコンテンツ統合研究機構 教授)
パネルメンバー 石田 亨(京都大学大学院情報学研究科 教授)
大津 元一(東京大学大学院工学系研究科 教授)
須田 達也(Professor, Donald Bren School of Information and Computer Science UC Irvine)
Tom DeFanti(California Institute for Telecommunications and Information Technology)
評価結果:
 研究領域「デザインインタフェース」は、高度な映像を使ったコミュニケーションおよび自己表現を実現するためのソフトウェア技術基盤を築き、誰もが自由に創造力を発揮できる社会を実現することを目標とする。具体的には、専門知識のない人でも、紙に絵を書くように、容易に3次元形状表現やアニメーションの作成を可能とする形状処理手法の確立を目指す。そのために、最適化法を利用した曲面生成を行う手法と、プログラミングではなく、ペンなどを使うことにより(スケッチ入力)直感的な入力方法からアニメーションを作成する手法の研究開発を行う。さらに、3次元モデリングに物理的制約のシミュレーションを組み込むことにより、日常で使う身の回りの品などを誰でもデザインすることを可能とする、高速シミュレーション技術の確立を目指す。この他に、今後家庭への普及が期待されるロボットに対して、プログラミングではなく、視覚的で直接的な方法で行動指示できる新たなユーザインタフェースと、ロボット内での情報処理をイメージ化する方法の研究を行う。
 本研究領域は、情報技術の専門知識を持たなくても、誰もが3次元表現やアニメーションなどの映像表現をできるようにしたり、感覚的にロボットを操作することを可能とするための基盤技術を創出すると期待される。これにより本研究領域は、戦略目標「メディア芸術の創造の高度化を支える先進的科学技術の創出」に資するものと期待される。
 五十嵐健夫氏は、本提案の基盤となるユーザインタフェースにおいて、計算幾何学のコンピューターグラフィックスへの応用における先導的な研究を行ってきており、研究総括として相応しいと認められる。

研究総括:
中内 啓光(東京大学医科学研究所 教授)
研究領域:
幹細胞制御
戦略目標:
生命システムの動作原理の解明と活用のための基礎技術の創出
選考パネル:
パネルオフィサー 岡野 光夫(東京女子医科大学先端生命医科学研究所 教授)
パネルメンバー 神原 秀記(株式会社日立製作所 フェロー)
永山 國昭(自然科学研究機構岡崎統合バイオサイエンスセンター 兼 生理学研究所 教授)
林 利彦(帝京平成大学薬学部 教授)
David Grainger(Professor, University of Utah, Departments of Pharmaceutics and Bioengineering)
評価結果:
 研究領域「幹細胞制御」は、臓器の損傷・疾患等の治療に用いられる移植臓器の不足という問題の解決に向け、臓器形成の仕組みの理解と、動物を用いた新たな臓器再生法の確立に向け、基盤技術の創出を目指すものである。具体的には、発生過程における幹細胞とそれ取り巻く環境(ニッチ)の相互作用を解析し、臓器形成の仕組みについての理解を深めるとともに、マウスなど小型のモデル動物の体内で、ES細胞からの臓器再生を試み、再生臓器の機能的検証を行う。さらにモデル動物をウシやブタなどに大型化するとともに、ブタを用いたサルの臓器再生といった、種を越えた臓器再生へと展開する。
 本研究領域は、臓器形成の基本原理解明と、それに基づく臓器再生の可能性を探索するものであり、再生医療分野における基盤技術の創出に繋がるものであり、戦略目標「生命システムの動作原理の解明と活用のための基盤技術の創出」に資するものと期待される。
 中内啓光氏は、動物を用いた新たな臓器再生法に繋がる知見を既に得るなど、本研究領域の基盤となる幹細胞生物学において先導的な研究を行ってきており、研究総括として相応しいと認められる。

研究総括:
北川 進(京都大学物質−細胞統合システム拠点 副拠点長)
研究領域:
統合細孔
戦略目標:
プログラムされたビルドアップ型ナノ構造の構築と機能の探索
選考パネル:
パネルオフィサー 玉尾 皓平((独) 理化学研究所/フロンティア研究システム長)
パネルメンバー 中村 栄一(東京大学大学院理学系研究科 教授)
長田 義仁(理化学研究所 特任顧問)
小松 紘一(福井工業大学工学部 教授)
Prof. Dr. Gerhard Erker(ミュンスター大学 教授)
評価結果:
 研究領域「統合細孔」は、特定の有機化合物(有機配位子)を金属イオンで連結した無限骨格構造から成る多孔性物質を用い、多様な場に応じて、分子吸脱などの細孔機能を柔軟に発揮する“インテリジェント細孔材料”という新たな材料分野の開拓を目指すものである。具体的には、新しい実験手法を通して細孔空間に働く分子間相互作用の働きと非線形現象の理解を進め、その理解を基に、単一の細孔が異なる機能を持つ多機能性細孔や、異なった機能を有する数種の細孔物質を融合した材料など、新たな機能・構造を有する材料の開発を行い、「細孔機能の統合」という新たな研究領域の確立を目指す。また、これら新規の細孔機能を利用した、様々なガスの貯蔵や分離を行うための機能性材料、生体内で利用可能な薬剤の運搬・放出のためのマイクロカプセル、環境に調和した化学反応システムの基盤技術の研究開発を行う。
 本研究領域は、有機配位子と金属イオンを組み合わせて構成したナノサイズの細孔に目的とする機能を発現させ、細孔を用いた新たな機能性材料の研究開発を行うものである。これにより、本研究領域は、戦略目標「プログラムされたビルドアップ型ナノ構造の構築と機能の探索」に資するものと期待される。
 北川進氏は、従来の概念を覆す室温において安定的にメタンを吸蔵、脱着できる細孔材料の開発を始めとし、有機配位子と金属イオンで構成される配位高分子の分野を先導する研究を精力的に行っていることから、研究総括として相応しいと認められる。

研究総括:
前中 一介(兵庫県立大学大学院工学研究科 教授)
研究領域:
センシング融合
戦略目標:
安全・安心な社会を実現するための先進的統合センシング技術の創出
選考パネル:
パネルオフィサー 江刺 正喜(東北大学原子分子材料科学高等研究機構 教授)
パネルメンバー 加藤 修三(パシフィックスターコミュニケーションズ 社長)
山ア 弘郎(東京大学 名誉教授)
和賀三和子(Global Emerging Technology Institute マネージングディレクター)
Shih-Chia Chang (Professor of Research SSIM College of Engineering Wayne State University)
評価結果:
 研究領域「センシング融合」は、高集積化・低消費電力化をすすめたセンサデバイスや、センサが取得した信号を安全に処理・伝達できる情報ネットワークを開発し、それらを統合させることにより、人体装着型デバイスを用いた人体活動管理システムの基盤技術を創出するものである。具体的には、生体が置かれている環境や生理的反応などを高精度に検出するセンサデバイスの研究開発を行うとともに、デバイスの電源管理から利用者を解放できるよう、電力供給や低消費電力化に関する研究を行う。また、センサから得られたデータを解析して生体の状況を把握する手法や、構築したセンサネットワークを通じて安全かつ迅速に得られた情報を伝達する手法の確立を目指す。最終的には、これらの研究を通じて進化させた技術を統合して、人体活動管理システムの試作を行い、その有用性を検証する。
 本研究領域は、人体活動を部分的にではなく多面的にモニターするデバイス・システムを創出し、人々の健康・安全管理に貢献するものであり、過労・不注意などに起因する重大事故の低減に繋がるもので、戦略目標「安全・安心な社会を実現するための先進的統合センシング技術の創出」に資するものと期待される。
 前中一介氏はこれまでに、磁気センサ、加速度センサ、ジャイロスコープなどの多様なセンサの集積化といったMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)研究を継続してきており、さらにそのために必要な装置開発も自らの手で行ってきた。また、それらのハードウェアの上に立つソフトウェアの作成までをも自らが手がけている。以上のように前中氏は、本研究領域の基盤となるマイクロセンシングシステムの研究開発において極めて高い創造力を示す成果を上げており、多様な先端技術の総合力を要する本研究領域の研究総括として適任であると認められる。

研究総括:
平山 祥郎(東北大学大学院理学研究科 教授)
研究領域:
核スピンエレクトロニクス
戦略目標:
情報通信技術に革新をもたらす量子情報処理実現に向けた技術基盤の構築
選考パネル:
パネルオフィサー 榊 裕之(豊田工業大学 副学長・教授、(独)物質・材料研究機構 フェロー)
パネルメンバー 石原 宏(東京工業大学大学院総合理工学研究科 教授)
寺倉 清之(北陸先端科学技術大学院大学 特任招聘教授)
堀越 佳治(早稲田大学 理事、同理工学術院 教授)
Gerhard Abstriter(ミュンヘン工科大学 教授)
評価結果:
 研究領域「核スピンエレクトロニクス」は、半導体量子構造やナノマテリアルを舞台に、原子核のスピン(核スピン)と電子のスピンが結合して生み出す種々の現象や機能を探究し、エレクトロニクスの新分野の開拓を目指すものである。特に、核スピン系と電子スピン系のコヒーレントな結合を活かして、空間的に分離した少数の核スピンを精密に制御し、そこに内在する物性現象の学理の解明と展開可能性の探索を進めるとともに、高感度NMR測定技術の創出や確立にも取り組む。
 本研究領域は、将来の量子情報処理への応用可能を持つ「核スピンを用いた多量子ビット量子デバイス」の基盤となる科学技術領域であり、戦略目標「情報通信技術に革新をもたらす量子情報処理の実現に向けた技術基盤の構築」に資するものと期待される。
 平山祥郎氏は、本研究領域の重要基盤となる半導体量子構造中の伝導物性の解明に関し先導的研究を行ってきており、研究総括として相応しいと認められる。