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科学技術振興機構報 第442号

平成19年11月19日

東京都千代田区四番町5番地3
科学技術振興機構(JST)
TEL:03-5214-8404(広報・ポータル部広報課)
URL http://www.jst.go.jp

表面をゼオライト化した機能性発泡ガラスの製造技術の開発に成功

 JST(理事長 北澤宏一)はこのほど、独創的シーズ展開事業・委託開発の開発課題「表面をゼオライト化した機能性発泡ガラスの製造技術」の開発結果を、成功と認定しました。
 本開発課題は、佐賀大学低平地研究センター教授 荒木宏之らの研究成果を基に、平成16年3月から平成19年3月にかけて日本建設技術株式会社(代表取締役社長 原裕、本社住所 佐賀県唐津市北波多徳須恵1417番地1号、資本金 3,000万円、Tel:0955-64-2525)に委託して、企業化開発(開発費約291百万円)を進めていたものです。
 本新技術は、従来の発泡ガラス(注1)を高比重化し、ゼオライト(注2)の持つ重金属などの吸着能を加えた「ゼオライト化発泡ガラス」という機能性材料を工業規模で開発したものです。
 容器包装の有色ガラスや建設廃材の板ガラスなどの廃ガラスは現在、リサイクルが困難ですが、有効利用が求められています。日本建設技術株式会社は廃ガラスを利用した発泡ガラスを開発し、すでに緑化用資材や土木用資材などに活用しています。発泡ガラスは吸水性・保水性に優れ、水質浄化能力も持っていますが、比重が軽く、水に浮くことから水質浄化資材の用途は限られたものとなっています。
 本開発では、水質の浄化資材として用途を拡大するために従来の発泡ガラスの高比重化を行い、さらにマイクロ波加熱で発泡ガラス表面を覆ったシリカ分とアルカリ分との反応を促し、ゼオライト化を行うことで機能性を付加しました。その結果、比重が1以上で水に沈み、かつ人工ゼオライト並みに陽イオン交換能(注3)や重金属の吸着能を持つゼオライト化発泡ガラスの製造が可能となりました。
 新技術により製造された高比重ゼオライト化発泡ガラスは、海域・湖沼の浄化や産業廃水処理など幅広い用途への展開が期待されます。

本新技術の背景、内容、効果の詳細は次の通りです。

(背景) 容器包装の有色ガラス等の廃ガラスの廃棄物問題

○廃ガラスのリサイクル問題
 容器包装リサイクル法(1995年12月施行)により、ガラス瓶メーカーはリサイクルを推進してきましたが、顔料を含有している有色瓶はリサイクルが難しいため、回収有効利用されていないのが現状です。
○発泡ガラスの開発
 日本建設技術では、廃ガラスを有効利用するために発泡ガラスを開発しました。発泡ガラスは吸水性・保水性に優れ、水質浄化能も有することから、すでに緑化用資材や土木資材、水質浄化資材などに活用されています。
○従来品の欠点
1 従来の発泡ガラスは、比重が低く、海洋や湖沼などに散布しても浮いてしまうために水質浄化材としては、適していません。
2 ゼオライトのような陽イオン交換能や重金属等の吸着能を持っていないため、産業の廃水処理などにも使用できませんでした。

(内容) 水に沈む発泡ガラス(多孔質材料)をゼオライト化した新しい機能性材料

 本新技術は、発泡ガラスの比重を調整して水に沈むよう高比重化を行い、その多孔質内部表面をゼオライト化した新しい機能性材料の開発を工業規模で行ったものです。
○発泡ガラスの比重調整
 発泡剤の種類や添加量の最適化、焼成時間を調整して内部の気孔をより連続的にし、独立気孔を少なくすることで比重が1以上の発泡ガラス(図1)の製造が可能となりました。
○発泡ガラスのゼオライト化
 発泡ガラスのシリカ成分を利用して、アルカリ分、アルミニウム分、水分を供給・加熱することにより行います。本新技術ではアルカリ溶液の濃度や種類を検討し、漬浸条件を調整することで発泡ガラス表面の溶解を促進し、マイクロ波発振装置による短時間加熱により効率よく気孔表面をゼオライト化することが可能となりました。

(効果) 廃ガラスから水質浄化材料が製造可能

○用途の拡大1
 本新技術により高比重化した発泡ガラスは、いけすや水槽の浄化(図2)や河川の水質浄化施設(図3)への利用はもとより、海洋、湖沼、河川の敷設材料や散布材料としても使用できます。
○用途の拡大2
 ゼオライト化した発泡ガラスは陽イオン交換能を持つことから、水質を悪化させるアンモニアや汚染物質であるカドミウムなどの重金属の除去が可能となり、畜産や工場等の廃水処理に利用することができます。
○廃ガラスの再利用の促進
 発泡ガラスの用途が広がることで、廃ガラスの再利用が促進されることが期待されます。

図1 ゼオライト化発泡ガラス
図2 水槽(利用例)
図3 河川水質浄化システム(利用例)
開発を終了した課題の評価

<用語解説>

注1)発泡ガラス
 空き瓶等のガラス廃材から作られたリサイクル製品です。ガラス廃材を微粉砕して、発泡剤を添加・焼成した発泡体で、主成分は二酸化ケイ素です。
 多孔質間隙構造を有し、吸水性・保水性に優れ、斜面緑化・屋上緑化の保水材に用いられています。

注2)ゼオライト
 結晶中に微細孔を持つアルミノケイ酸塩の総称です。
 アルミノケイ酸塩はケイ酸塩中のケイ素原子の一部をアルミニウム原子に置き換えた構造を持つ物質です。その一般式はxM2O・yAl2O3・zSiO2・nH2O(M:ナトリウム、カリウム、カルシウムなど)と表されます。特徴は陽イオン交換能や吸着能を有することで、分子ふるい、イオン交換材、触媒、吸着材として利用されています。

注3)陽イオン交換能
 ゼオライトは水中において、ゼオライトに結合している水素イオン、ナトリウムイオン等の陽イオンと、水中に含まれる陽イオン(アンモニアイオン等)とを交換することができます。この陽イオンを置き換える作用を陽イオン交換能と呼んでいます。

<お問い合わせ先>

日本建設技術株式会社 企画開発戦略本部 技術研究所
松尾 保成(マツオ ヤスナリ)
〒847-1201 佐賀県唐津市北波多徳須恵1417番1号
Tel:0955-64-2679 Fax:0955-64-4255

独立行政法人 科学技術振興機構 産学連携事業本部 開発部開発推進課
三原 真一(ミハラ シンイチ)、室賀 薫(ムロガ カオル)
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
Tel:03-5214-8995 Fax:03-5214-8999