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機構報第438号

開発を終了した課題の評価

課題名 「大面積プラズマ支援スパッタリング法による自浄性ガラスの製造技術」
所有者 独立行政法人 理化学研究所、株式会社 東芝、富山県、YKK AP株式会社
研究者 富山県立大学 名誉教授 石井成行
委託企業 YKK AP株式会社
開発費 約209百万円
開発期間 平成16年10月~平成19年3月
評価  本新技術は、雨水による自浄性(セルフクリーニング)機能を持った建築用窓ガラスの製造技術に関するものである。
 建築分野では、光触媒活性を有する酸化チタンを用いた製品が開発され、窓ガラスにおいても自浄性や殺菌効果を付与するニーズが高まっている。
 現在の製造法であるオフライン・ゾルゲル法は、ゲル化するために加熱が必要で、大面積の場合コスト高となるばかりでなく、密着性が低く、膜厚の均一制御が困難であり、光学特性を損ねる問題点を有していた。
 一方、乾式プロセスで製造する蒸着法等は、低速で成膜すれば加熱することなく光触媒活性を有する膜形成が可能であるが、コスト高となるため、大面積のガラス基板上に光触媒活性を有する酸化チタン膜を形成するには、非加熱で高速成膜できるインラインプロセスの開発が望まれていた。
 本新技術では、酸素プラズマ下、チタン金属をスパッタして大面積基板面に酸化チタンを成膜させた後、電子サイクロトロン共鳴(ECR)現象によるプラズマを発生させ、常温結晶化を行うもので、これにより、自浄性機能を持った建築用窓ガラスを、基板を加熱することなく連続的に製造する事が可能となった。
 本技術は大面積の成膜プロセスに活用できるので、光活性自浄性の窓ガラスだけでなく、反射鏡、熱線反射ガラス、太陽電池や照明用の保護ガラス等へ広く利用が期待される。
評価者 独創的シーズ展開事業 委託開発
 プログラムディレクター  今成 真
 プログラムオフィサー  中川 威雄、吉村 進、桐野 豊
評価日 平成19年5月29日