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<用語解説>

注1)マラリア:
マラリア原虫に起因する感染症。マラリア原虫には様々な種があり、それぞれの動物は異なるマラリア原虫に感染し、また、ハマダラカが媒介して、動物の赤血球内で増殖する。極めて古くから知られている疾患で、アレキサンダー大王、平清盛はマラリアで亡くなった可能性があると言われる。キニーネ、クロロキン、メフロキン、アトバコン、ピリメサミン等が治療薬として使われるが、これらへの薬剤耐性原虫が深刻な問題となっており、また、キニーネは注射での投与が必要である。エンドパーオキシド構造をもつアルテミシニン誘導体が薬剤耐性マラリアに現在使われている。

注2)リーシュマニア:
リーシュマニア原虫による疾患で、スナバエによって媒介される。内臓型と皮膚型に大別され、内臓型は黒熱病とも呼ばれ、90%以上の致死率が報告されている。含アンチモン剤が治療薬として主に使われる。
現在、紛争地域での感染が重大な問題となっている。なお、リーシュマニア原虫はマクロファージ内で増殖し、イヌ等のペットにも感染する。

注3)アフリカ睡眠病:
アフリカトリパノソーマ原虫による感染症で、ツェツェバエによって媒介される。致死率は100%に近く、毎年30万人程度が犠牲になっている。含ヒ素剤が治療薬として使われている。

注4)シャーガス病:
アメリカトリパノソーマ原虫による疾患で、サシガメによって媒介される。1800万人程度の患者が南アメリカに存在する。

注5)原虫:
真核単細胞の微生物で、動物への感染には昆虫の媒介が必須である。

注6)トリパノソーマ:
細胞内寄生する鞭毛を持つ原虫。