機構報第425号
開発を終了した課題の評価
課題名 | 「ディジタルサーボ地震計」 | ||||||
所有者 | 独立行政法人防災科学研究所、株式会社東京測振 | ||||||
研究者 | 横浜市立大学 国際総合科学研究科 教授 木下繁夫 | ||||||
委託企業 | 株式会社東京測振 | ||||||
開発費 | 約135百万円 | ||||||
開発期間 | 平成16年3月~平成19年3月 | ||||||
評価 |
本新技術は、地震計のセンサー内部の制御をすべてディジタル化することにより、ダイナミックレンジ(識別可能な信号の最小値と最大値の比率)を広くし、微小な地震から強大地震まで広範囲の振動を1台で計測できるサーボ地震計に関するものである。 従来のアナログ式サーボ地震計は、帰還回路など信号処理の心臓部がアナログ回路で構成されていたため、ダイナミックレンジが130dB前後に限られていた。そのため、1台の地震計だけでは地球で発生する振動の全てを計測できないため、地震の大きさに応じて複数の地震計を使い分ける必要があった。 本新技術はΔ-Σ(シグマデルタ)アナログディジタル変換技術という、アナログ信号を1bitのビット列へと変換することにより、信号の再現性に優れた手法をサーボ地震計に採用し、振り子の変位をディジタル信号に変換する電子回路部を開発した。 また演算により信号処理を行う特性変換回路を、さらにノイズ除去の為にディジタルフィルターを開発した。変位を検出する機構部では、荷重対変位が非線形に推移する振り子支持用バネを開発し、高感度・高分解能と機械的強度を両立させた。これらの技術を集約してディジタルサーボ地震計を完成させて評価したところ、ダイナミックレンジ160dBの結果を得た。 本新技術により、微弱な振動から強地震までを1台の地震計で測定することが可能となり、さらにディジタルデータの出力信号が直接得られる特徴を有することから、全国各地の地震観測網への適用を始め、地震発生メカニズムや火山活動の解明への貢献が期待される。 | ||||||
評価者 |
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評価日 | 平成19年6月5日 |