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機構報第418号

開発を終了した課題の評価

課題名 「微小電気化学セルを利用した重金属分析装置」
所有者 鈴木 博章、積水化学工業株式会社
研究者 筑波大学 数理物質科学研究科 教授 鈴木 博章
委託企業 積水化学工業株式会社
開発費 約180百万円
開発期間 平成16年3月~平成19年3月
評価  本新技術は、重金属を含む試料溶液を微小電気化学セル(以下、チップ)に導き、電位走査に対する電流の応答を測定することにより、重金属を迅速かつ高感度に分析する可搬型の分析装置に関するものである。
 本装置は、装置内に、測定毎に使い捨てとするチップを高精度、高頻度に受容可能とするホルダー部とチップを一体化して制御する機構を具備した可搬型(ティッシュ箱サイズ程度)の装置であり、本開発では、チップ内の電極や濃縮カラム及びチップ内の移送流路の形成精度をマイクロレベルにて制御する工夫を施し、試料溶液の特性に応じて流路や流速を最適化するソフトウエアの導入などを行った。
 その結果、重金属を分析する可搬型システムとして、環境基準に対応した極低濃度の重金属(Pb,Cd,As,Se,Hg)を、分析時間5分以内で、目標とする±50%の分析精度を大きく上回る性能でもって、定性・定量分析する装置が開発された。
 本装置により、土壌汚染浄化ビジネス、各種環境計測ビジネスなど、現場で採取した資料をその場(オンサイト)で分析したいとする要請に応えることが可能となり、更に、工場の工程管理や研究用機器など広範な分野での利用が期待される。
評価者 独創的シーズ展開事業 委託開発
 プログラムディレクター 今成 真
 プログラムオフィサー 吉村 進、中川 威雄、桐野 豊
評価日 平成19年6月26日