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科学技術振興機構報 第410号

平成19年7月6日

東京都千代田区四番町5-3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(広報・ポータル部広報課)
URL https://www.jst.go.jp

「化学物質リンクセンター」プロトタイプ版の一般公開を開始

 JST(理事長 沖村憲樹)は、平成19年7月6日(金)より、同機構が提供している「日本化学物質辞書Webサービス」(日化辞Web)と国公立の研究機関が保有している化学物質関係のデータベースをリンクする「化学物質リンクセンター」プロトタイプ版の公開を開始いたします。
 この「化学物質リンクセンター」プロトタイプ版は、日化辞Webでの化学物質の検索結果から参画機関の保有するデータベース内の各種情報が簡単に得られる仕組みになっており、ご利用者は種々のデータベースを検索し直すこと無しに特定の化学物質についての様々な情報を参照することができます。現在、この「化学物質リンクセンター」プロトタイプ版への参画機関はJSTの他、以下の4機関4データベースです。
 ・(独)産業技術総合研究所:有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)
 ・(独)物質・材料研究機構:高分子データベース(PoLyInfo)
 ・神奈川県環境科学センター:化学物質安全情報提供システム(Kis‐net)
 ・国立医薬品食品衛生研究所:既存化学物質毒性データベース(JECDB)
 今後、相互リンク方式等の機能拡張、リンク先データベースの拡充を随時行っていきます。
化学物質リンクセンタープロトタイプ版ホームページ
http://chemlink.jp/link_center/

 JSTは、同機構が提供している「日本化学物質辞書Webサービス」(日化辞Web)と国公立の研究機関が保有している化学物質関係のデータベースをリンクする「化学物質リンクセンター」プロトタイプ版の公開を開始いたします。

 膨大な数の化学物質について、その安全性や自然環境への影響の評価、スペクトルデータや特性値の測定などが様々な研究機関等で実施されています。これらの成果はデータベース化されており、インターネット上で一般に公開されているものも多くあります。これらのそれぞれの機関が独自に公開しているデータをワンストップで参照可能とすることを目指したリンク情報蓄積システムが化学物質リンクセンターです。

 JSTでは、平成17年3月から、国内外の化学・薬学関連の文献に出現した、あるいは官報などで公示された約245万件の化学物質の名称情報、構造情報、法規制番号、用途情報、分子式などを収録した国内最大級の化学物質データベース「日本化学物質辞書Webサービス」(日化辞Web)を無償で公開しています。

 日化辞Web公開後、ご利用者から検索結果の化学物質からその物質が有するスペクトルデータ、物性情報、法規性情報、安全性・毒性情報などの情報をシームレスに得たいとの要望が、多く寄せられております。
 こうしたニーズにお応えするために、JSTは日化辞Webと他機関のデータベースをリンクし、化学物質の検索結果から簡単に他機関のデータベース内の各種情報を参照可能な「化学物質リンクセンター」の構築を企画し、この度プロトタイプ版が完成しましたので、平成19年7月6日(金)より一般公開サービスを行うこととしました。

 今回の「化学物質リンクセンター」プロトタイプ版は、まずリンク方式の確立などを確認するために作成したもので、日化辞Webから他機関のデータベースへの片方向のリンクとなっています。JSTでは今後リンク先データベースを拡充し、化学物質に関するあらゆる情報をデータベース間の相互リンク方式で提供していく他、利用者のご要望を取り入れて、機能の拡張なども随時行っていく予定としております。

 現在このプロトタイプ版に参画している機関、及びデータベースは以下の通りです。

 独立行政法人産業技術総合研究所:有機化合物のスペクトルデータベース(SDBS)

 SDBSは主に有機化合物を対象にして電子衝撃法による質量スペクトル(EI-MS)、FT-IR法による赤外分光スペクトル、1H核磁気共鳴(NMR)スペクトル、13C NMRスペクトル、レーザーラマンスペクトルと電子スピン(ESR)の6種類の異なったスペクトルを1つの化合物辞書の元に収録した総合的なスペクトルデータベースです。

 独立行政法人物質・材料研究機構:高分子データベース(PoLyInfo)

 PoLyInfoは高分子材料設計に必要とされる様々なデータを学術文献から収集し、体系的に整理して提供するデータベースです。ポリマー物性、化学構造、IUPAC準拠名を含む各種名称、測定サンプルの成形方法、測定条件、原料モノマー、重合方法などを相互に関連づけて収録しています。物性項目は、熱的物性、電気的物性、機械的物性など、約100種類を対象としています。

 神奈川県環境科学センター:化学物質安全情報提供システム(Kis‐net)

 神奈川県が、化学物質による環境汚染と災害防止を図るため、化学物質を取り扱っている事務所において管理を適切に行うために必要な化学物質の物性、毒性等の基礎的な情報を蓄積したデータベースです。

 国立医薬品食品衛生研究所:既存化学物質毒性データベース(JECDB)

 厚生労働省が行ってきた既存化学物質毒性データベースを平成19年度に上記機関に移管しました。既存化学物質安全点検に係る毒性調査事業の一環として各種の安全性試験の報告書等を収録しています。

図1 化学物質リンクセンタープロトタイプ版概要図
図2 化学物質リンクセンター(プロトタイプ版) ホームページ

【お問い合わせ先】

 独立行政法人科学技術振興機構
 情報事業本部 文献情報部 辞書課
 中村 徹(なかむら とおる)
 〒102-8666 東京都千代田区四番町5-3
 TEL: 03-5214-8439 FAX: 03-5214-8460
 E-mail: