機構報第399号
開発を終了した課題の評価
課題名 | 「人工脂質膜を用いた品質管理用高耐久性高速味覚センサ」 | ||||||
所有者 | 都甲 潔、株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー | ||||||
研究者 | 九州大学大学院システム情報科学研究院教授 都甲潔 | ||||||
委託企業 | 株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー | ||||||
開発費 | 約160百万円 | ||||||
開発期間 | 平成17年3月~平成19年2月 | ||||||
評価 |
本技術は、甘味、酸味等の基本味に選択的に応答する人工脂質膜センサを用いて、味を呈する物質との吸着反応によって変化する膜電位を測定し、味を数値化する味覚センサに関するものである。 食品産業や医薬品産業等において、新商品開発や品質管理の検査方法として人の官能による味の評価が広く行われている。これらの検査において、個人差の解消や客観性の向上を目的として、味を数値化する味覚センサの利用が提唱されている。しかし従来の味覚センサは、脂質膜の耐久性が低く、脂質が膜から容易に剥離・溶出するという問題点があった。脂質が溶出するとセンサの応答性が変化するため、品質管理のように安定した測定が要求される現場で使用することができなかった。また、酸味センサから溶出した脂質が旨味センサおよび塩味センサを汚染していたため、酸味と旨味・塩味を同時に測定できないという問題もあった。更に、甘味に対する感度が非常に低かった。 本開発では、膜に用いる疎水鎖を長くして脂質の溶出を抑制すること、および測定後の洗浄工程を最適化することにより、センサの耐久性を向上させた。また、酸味センサに用いる脂質膜を電荷密度の高い物質に変更した結果、苦味・渋味・酸味・旨味・塩味の同時測定が可能になり、測定時間が大幅に短縮された。甘味に対しては、タンニン類を用いれば十分な感度が得られることを見出した。 本開発の結果から、品質管理等の安定した連続測定が求められる現場で味覚センサを使用する見通しが立った。食品産業や医薬品産業等において、ヒトによる味覚官能試験の問題を解決する手段として利用が期待される。 | ||||||
評価者 |
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評価日 | 平成19年3月13日 |