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科学技術振興機構報 第391号

平成19年3月29日

東京都千代田区四番町5−3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(広報・ポータル部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

松本和子 元早稲田大学教授に係る研究費の
不適正使用調査結果、対応措置、防止策について

 JST(理事長 沖村 憲樹)は、松本和子元早稲田大学理工学術院教授による公的研究費に係る不正使用問題等に関して、同氏がかかわったJST事業の研究開発費の使用に関する調査を実施しました。
 調査の結果、不適正な経理処理が確認されましたので、取引先企業に対して返還を求めるとともに、同氏に対し、JST事業への申請資格及び新たに共同研究者として参加する資格を喪失させる措置を行います。
 また、再発防止に向けた取り組みを実施し、今後とも公的研究費の適切な運用がなされるよう努めてまいります。

 JSTは、松本和子元早稲田大学理工学術院教授による公的研究費に係る不正使用問題等に関して同氏がかかわったJST事業の研究開発費の使用に関する調査を実施した。
 調査内容は、以下のとおり。

・JSTの会計証憑書類の悉皆調査
・JST会計証憑書類と取引先企業の証拠書類又は大学の研究室における取引先企業の納入伝票控などの証拠書類の確認と突き合せ
・研究代表者及び共同研究者の所属する大学など研究機関におけるJSTの帰属物品等の実地調査
・委託研究費の額の確定行為
・関係者及び取引先企業からの聞取り調査 等

 調査結果、関係機関・関係者に対する措置及び今後の防止策は以下のとおり。

1.JSTにおいて、松本和子氏がかかわった事業

1 戦略的基礎研究推進事業(CREST)
平成9〜14年度 研究費総額567,292千円
2 戦略的創造研究推進事業(チーム型研究/CRESTタイプ)
平成14〜18年度 研究費総額327,315千円
3 研究成果最適移転事業成果育成プログラムC(プレベンチャー事業)
平成15〜18年度 研究開発費199,973千円

2.調査結果

 上記123 の全ての研究費目を対象にして調査を実施した。
(1)物品関係
1 及び2 において、取引先企業6社、29,812千円の取引に関し、以下の不適正な経理処理が確認された。
・付け替え(取引先企業からJSTに提出された納品書の内容と実際の納品物が異なっていた):29件、合計20,652千円
・架空請求(取引先企業から取引実態のない請求書が提出され、JSTが支払った):19件、合計 9,159千円

(取引先と措置内容の一覧表)
取引先企業 不適正使用の種類 件数 返還金額(千円)
A社 付け替え 20 12,714
B社 付け替え 7,938
C社 架空請求 113
D社 架空請求 3,216
E社 架空請求 3,216
F社 架空請求 10 2,613
合計   48 29,812
(注)合計金額は、集計上、千円単位の端数の関係で、個別金額の合計額と一致しない。

(2)人件費
調査の結果、不適正な処理は確認されなかった。

(3)旅費
調査の結果、不適正な処理は確認されなかった。

 なお、上記(1)〜(3)のいずれにおいても私的流用は確認されず、また、3 に不適正な処理は確認されなかった。

3.関係機関・関係者に対する措置

(1)取引先企業への措置
i )取引先企業6社に対して、適正な経理と認められない取引金額29,812千円に延滞利息(年5%)を付加した合計金額について全額の返還を求める。
ii)各社に対して、JSTの全ての事業の取引をJSTの定める日から3ヶ月間停止する。
(2)研究代表者(リーダー)に対する措置
i )平成18年6月の早稲田大学の発表を受け、2 及び3 の研究課題が継続中であったことから、当該研究課題に係る新規の予算執行を停止した。
ii)2 については研究代表者としての責務を果たせない状況にあり、且つ責務を果たせる状況が回復される見込みに乏しいと考え、JSTは研究総括に相談の上、平成18年10月18日付けで研究中止を決定した。
iii)3 についても、リーダーである同氏から辞退届が出されたため、評価委員長に相談の上、平成18年7月21日付けで研究開発中止を決定した。
iv)JSTの担当理事から厳重注意し、強く反省を求める。
v )同氏に対しては科学技術振興調整費等による不正に関して5年間の競争的資金への申請及び参加資格の制限が決定されている。従って、平成19年4月1日から平成24年3月31日までの5年間、JSTが所掌する競争的資金制度への申請資格及び新たに共同研究者として参加する資格を喪失させる。(競争的資金制度以外のJST事業についてはJSTの規程に基づき平成19年4月1日から平成23年3月31日までの4年間、申請及び参加の資格を喪失させる。)

4.今後の防止策

(1)可能な限り経理事務を研究機関に一元化
JSTは、戦略的創造研究推進事業(CREST等)において、可能な限り、消耗品などの研究材料等の調達、旅費及び雇用研究員等の人件費等の執行を研究機関において可能とするとともに、研究費の不正防止の観点から研究費の執行に関する経理事務を研究機関に一元化する。(平成19年度は、研究機器の調達のうち一定金額以上(50万円以上)の取引や一部の旅費、雇用研究員等の人件費等については、限定的にJSTが直接執行を行うものとする。)
(2)会計制度の周知・徹底
会計規程や事務処理マニュアルの見直し、検討を行うとともに、研究代表者、共同研究者及び研究員等に対して事務処理や連絡事項の周知・徹底を図る。
(3)関連する対策
i )研究機関における公的研究費にかかる報告体制
JSTは総務部情報公開・個人情報保護室に告発窓口を設置した(平成18年12月20日)。
ii)プログラム調整室の設置
研究費が適正に執行されるよう、研究代表者及び研究機関の状況を把握するため、「プログラム調整室」を新たに設置し、研究の進捗管理等に精通した外部専門家を委嘱した(平成18年10月1日)。
参考1  JSTにおいて松本和子氏がかかわった事業
参考2  不適正使用の内容

*本件の問い合わせ先

独立行政法人科学技術振興機構
広報・ポータル部 広報室
室長 福島三喜子
〒102-8666 東京都千代田区四番町5-3
Tel:03-5214-8404 Fax:03-5214-8432
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