<用語解説>
注1)ダイオキシン受容体(AhR):
アリール炭化水素受容体(arylhydrocarbon receptor)のこと。様々なアリール炭化水素(=多環芳香族炭化水素)などを
リガンドとして結合するタンパク質。リガンドが結合することで活性化し、特定の遺伝子の発現を誘導することが知られています。
AhRはダイオキシン類と結合し、ダイオキシン類の生態影響を引き起こすことから、ダイオキシン受容体とも呼ばれます。
AhR遺伝子を持たない遺伝子改変マウスはダイオキシン類の毒性に耐性であることがわかっています。
注2)性ホルモン受容体(ER、AR):
核内受容体と呼ばれる一群の転写制御因子に属し、それぞれ女性ホルモン・男性ホルモンを結合すると活性化し、特定の遺伝子発現を活性化します。
注3)多環芳香族炭化水素(PAH):
複数個のベンゼン環を有する炭化水素の一群。石油産業や排気ガスなどによって人為的に産生されるもの、山火事などの燃焼によって
産出されるものなどが知られています。PAHの一種であるベンツピレンなどに発がん性があることが知られています。
注4)リガンド:
性ホルモン受容体などのタンパク質に結合することによって、そのタンパク質の活性を制御する物質のこと。性ホルモンのような脂溶性低分子、
サイトカインのようなタンパク質タイプのものがあります。
注5)ユビキチン:
小型のタンパク質で、酵素反応により、別のタンパク質のリジン残基に共有結合します。これが直鎖状に共有結合したポリユビキチンは、
タンパク分解のシグナルとして認識されることが知られています。ユビキチンを付加する酵素は、「ユビキチンリガーゼ」と呼ばれ、
非常に数多く存在し、分解されるべきタンパク質の特異性を規定しています。