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別紙2

平成19年度 機器開発プログラム「領域特定型」における開発領域について

1 【一般領域】人体内の臓器、病態、脳の高次機能などの無・低侵襲リアルタイム高解像度3次元観察、及び人体中の物質の無・低侵襲定量分析

 人体を傷つけずに又はほとんど傷つけずに、体内の特定の臓器や病態、脳の高次機能などを、リアルタイムかつ3次元でイメージング技術等により観察し、併せて、人体内の生体高分子、遺伝子、健康状態の指標となる成分等の各種物質を定量分析する課題を公募するものである。

(期待される効果の例)
・生体内の経時的な病理観察技術の開発によって、例えばがんの早期診断、治療技術の向上など医療の発展に寄与できる。また、薬剤効果の検証技術の革新にも繋がり、新薬開発の加速に期待できる。
・脳機能を支える仕組みに対して多くの知識が得られると同時に、医療現場での応用により、様々な脳機能疾患、精神疾患の原因の特定と医療対策の策定が迅速に行えるようになる。
・生体中の様々な物質、あるいは状態を無・低侵襲で定量、あるいは評価可能にすることにより、生活習慣病等に関係する簡便な計測・評価技術が開発され、予防、予知診断、病態管理に貢献することが期待できる。

2 【応用領域】リアルタイム・ハイスループット観察、リアルタイム制御、又はものづくり環境適応可能な計測分析システム

 ものづくり現場での将来の活用を想定し、製品、部品のリアルタイム・ハイスループット検査や、製造プロセス条件のリアルタイム制御を可能とするための計測分析機器、又はものづくり現場に適応させるため耐環境性に優れた計測分析機器を開発する課題を公募するものである。

(期待される効果の例)
・製造・加工プロセスの異常をリアルタイム・ハイスループットで検知し即座にプロセスに反映させ生産性や歩留まりの向上を図るためのシステムが開発されることにより、製品の品質、スループットの向上に繋がり、製造業全体の競争力が高まる。同時に産業界の要求に合致したものづくり研究の更なる発展が期待できる。
・これまで熟練技能者の経験と勘に頼ってきた製造技術、加工技術、温度、色、発酵の状況などをリアルタイムで分析できるシステムが開発され、熟練技能者に頼ることなく品質を一定に保つための研究が発展するとともに、これを実現する製品の提供が可能となる。
・これまで不可能だった高温又は振動下での計測分析や、湿潤状態又は水中での計測分析、夾雑物(きょうざつぶつ)に影響されない計測分析が可能になり、ものづくり技術に関連する研究の発展が見込まれるとともに、材料の実使用時における各種環境下でのその場計測分析が実現でき、製品使用性能評価を通して高性能商品開発へとつながる。
・モバイル型の操作性に優れた小型計測分析装置により、試料を検査室に持ち込むことなく、研究現場、製造現場で手軽に検査可能となり、原料の受入検査、規制物質の判定、製造プロセス管理、製品品質チェックなど高位な安定製造技術を確立できる。

3【応用領域】機能発現・作動状態下におけるマクロからミクロレベルのダイナミック計測

 マクロレベルからミクロレベルに至る広範囲の動的現象のうちこれまで容易に観察できなかった現象を、非破壊観察、高速観察、高感度観察等により動的に計測し観察するための機器を開発する課題を公募するものである。

(期待される効果の例)
・材料の製造時あるいは成形時における組織変化をナノ、ミクロ、マクロレベルで機構解明でき、高度な材料設計、プロセス設計基盤が構築でき、新商品開発の効率向上へとつながる。
・過渡現象が動的に微細に計測できる装置が開発され、組成や微細構造を任意に制御することにより、これまでに得られなかった物性を示す素材の実現が期待できる。
・自動車のエンジンの筒内の流動状態を測定できる機器が開発され、流体研究の発展が加速するとともに、エネルギー効率が良く、環境負荷の低い自動車開発など輸送機器の発展が期待できる。