JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第377号 > 資料4
資料4

選定した研究領域及び研究総括の評価

研究領域
1.光エネルギー変換システム

研究総括
1.橋本 和仁(東京大学大学院工学系研究科 教授)

評価結果
1.研究領域「光エネルギー変換システム」は、物質のナノ構造を各目的に対して最適化するという視点からナノ構造制御を行い、エネルギー変換材料の分野において、高効率なエネルギー変換システムやエネルギー利用高度化材料の創出を目指すものである。具体的には、有機薄膜中のナノメートルスケールでの結晶性や相分離構造を自己組織的に制御する方法と、無機材料のナノ構造を利用して、その表面上で有機材料が自発的に構造形成する手法を研究し、高効率な高分子薄膜太陽電池の研究開発を行う。また、金属イオン間の電子移動を光で誘起させることにより、光反応場の自在制御に基づいた、新たな動作原理で駆動する耐久性に優れた無機人工光合成デバイスの構築を目指す。さらに、微生物と半導体材料との電子移動を可能とするような新たなナノ材料技術の開拓にも挑戦する。
本研究領域は、目的に応じて物質のナノ構造を最適に設計・制御することにより、安価で高効率なエネルギー変換材料の開発につながることが期待される。これにより本研究領域は、戦略目標「環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」に資するものと期待される。
橋本和仁氏は、本研究領域の基礎となる光応答材料分野において先導的な研究を行ってきており、研究総括として相応しいと認められる。

評価者
科学技術振興審議会 基礎研究部会
部会長 竹内 伸
委員 岩渕 雅樹、小柳 義夫、川嵜 敏祐、郷 通子、高野 幹夫、東倉 洋一、村橋 俊一、安井 至