JSTトッププレス一覧 > 科学技術振興機構報 第362号
科学技術振興機構報 第362号

平成18年11月22日

東京都千代田区四番町5−3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(広報・ポータル部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

リチウムイオン電池に優れたナノ粒子を提供するベンチャー企業設立

(JST大学発ベンチャー創出推進の研究開発成果を事業展開)

 JST(理事長 沖村憲樹)では、平成15年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスにつなげていくために、起業化に向けた研究開発を行う独創的シーズ展開事業 大学発ベンチャー創出推進を実施してきました。
 この度、平成15年度より開始した研究開発課題「単分散ミクロスフェア高速製造装置の研究開発」(開発代表者:荻原 隆 (国立大学法人福井大学 助教授)、起業家: 樋田 俊一)のメンバーが出資して、ベンチャー企業 株式会社ナノリサーチ(代表取締役: 向山 泉、本社:福井県福井市、資本金100万円)を平成18年9月7日に設立しました。
  現在、金属やセラミックスに使われる多くの原料粉体は、殆どが粒子形態、サイズ、サイズ分布が不均一で且つ凝集しています。携帯電話をはじめ、デジタルカメラなどの各種携帯情報通信機器の電源として広く使用されているリチウムイオン電池注1)の正極材料においても5〜10μmと大きく、そのため粉砕や熱分解後、分級などの複雑な工程を経て、目的のサイズとサイズ分布に調整されていることから、生産時間・効率・ランニングコスト等に問題がありました。
 株式会社ナノリサーチはこれらの問題を解決するために、従来のエアロゾル技術注2)火炎燃焼技術注3)を組み合わせて、大量のエアロゾル注4)を短時間且つ高効率で熱処理できる単分散注5)ナノ粉体高速製造装置を世界で初めて開発しました。従来の正極材料は緻密な二次粒子注6)でしたが、本製品の正極材料の特徴は10nmの一次粒子からなるナノ構造多孔体二次粒子であり、これをリチウムイオン電池へ用いるとリチウムイオンの拡散速度が非常に速くなり、数分での高速充電が可能となる他、高速充電および大電流発生時に受ける正極材料への衝撃にも強くなるため、連続高速充電に対する耐久性が高まり電池寿命も長くなります。 路面電車用モジュール電池に用いたところ、出力密度注7)で3倍向上し、従来のリチウムイオン電池では耐えられない600Aの大電流時にも数十秒間耐えることができます。
 本技術は原料水溶液の濃度、粘度などの制約を受けることがなく、二次粒子の粒径も0.1〜10μmまでの範囲で制御できることから、リチウムイオン電池用以外にも様々な電子材料・触媒などの酸化物や合金などのナノ粉体注8)を提供することができます。さらに、火炎温度を1500℃まで達成させることで、結晶性に優れた高品質の酸化物や従来法では得られない酸化物も製造できます。
 株式会社ナノリサーチは本装置により、従来の酸化物および金属粉体とは全く異なる単分散ナノ粉体の大量生産技術を確立し、リチウムイオン電池用正極材料を始めとする各種機能性粉体を製造・販売します。また、ナノ粉体製造に関する技術コンサルティング、受託生産活動を通して、平成21年度までに年3億円の売上げを目指します。
 今回の株式会社ナノリサーチの設立により、プレベンチャー事業および大学発ベンチャー創出推進によって設立したベンチャー企業数は56社となりました。
■用語解説
■ 製品例・実施例
■(参考)企業概要・事業形態

<本件お問い合わせ先>

独立行政法人科学技術振興機構
産学連携事業本部 技術展開部 新規事業創出課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5-3
中村 宏(ナカムラ ヒロシ)、米谷 雅之(ヨネヤ マサユキ)
TEL: 03-5214-0016 FAX: 03-5214-0017

株式会社 ナノリサーチ
代表取締役社長 向山 泉(ムコウヤマ イズミ)
福井県福井市文京3-28-12-201
TEL: 0776-27-8624 FAX:0776-27-8624
E-mail:
URL:http://sozai.matse.fukui-u.ac.jp/nanoresearch.html