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<参考図>

図1 コピー数多型の概念図

図1 コピー数多型の概念図

 一般に、ヒトの遺伝子は父母それぞれのゲノムに由来するものを一組ずつ、あわせて二組受け継ぎます。したがって、通常、ある遺伝子に着目した場合、それぞれ2つ(=2コピー)の遺伝子を有するものと考えられてきました。しかし近年、個人によっては1つの細胞あたり、ある遺伝子が1コピーのみ、あるいは3コピー以上存在するといった遺伝子のコピー数の個人差(コピー数多型)があることが判明しました。このコピー数多型は、様々な薬の効きやすさや副作用の違いといった個人の体質差を生み出す原因として注目されています。従来の研究では、一塩基多型に代表される個人間の遺伝子の"塩基配列の違い"が良く知られていました。これに対して、このコピー数多型といわれる現象は遺伝子の"数の違い"です。この現象下では、ゲノム上で遺伝子を丸ごと含むような配列が重複もしくは欠損しているため、時には数1000塩基対~数100万塩基対程度の大きな領域の数が、個人間で異なります。