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資料4

平成18年度 新規採択研究代表者および研究開発プロジェクトの概要

研究開発プログラム:「ユビキタス社会のガバナンス」
領域総括:土居範久(中央大学 教授)
代表者氏名 機関名 所属部署名 役職名 研究開発プロジェクト名 研究開発プロジェクト概要
林 紘一郎 情報セキュリティ大学院大学 情報セキュリティ研究科 副学長・教授 企業における情報セキュリティの実効性のあるガバナンス制度のあり方 日々膨大な情報を取り扱う企業を対象に、実効性ある情報セキュリティのためには、いかなる「制度」が望ましいかを中心にして、情報セキュリティのガバナンスのあり方を検討する。まず責任論に着目した形で「経営管理」と「法」の相互関係を明らかにし、制度設計に当たっての基本的指針を検討する。その後、両者のほか「技術」の役割も視野に入れた学際研究に取り組み、社会全体のセキュリティ・レベルを向上させるための提案を行う。
林 春男 京都大学 防災研究所 教授 危機に強い地域人材を育てるGIS活用型の問題解決塾 IT化された社会基盤が持つ脆弱性に対する危機事態に対応できる自治体組織の情報セキュリティーの中核となる人材を育成し、問題解決型の自治体の新しい公共経営の業務体系を確立することを目的とする。そのためにケーススタディー市において「まなぶ」・「ならう」・「ためす」という流れに基づく人材育成プロセスの構築する。さらに研究の成果を評価し、技術認定書等により資格を認定する仕組みを確立する。危機対応業務を効率的に遂行できる人材を育成する事により地域の危機管理能力の向上をはかる。
福田 豊 電気通信大学 人間コミュニケーション学科 教授 市場と非市場を繋ぐ価値転換システムに関する研究 持続的な社会的発展を可能にするために、市場領域(経済システム)と非市場領域(コミュニティ)の連携に重要な役割を果たす「価値転換システム」を、ITの支援により社会的コンテクストの中で構築することを目的とする。次世代に向けてより重要性が増すと考えられるCSR(企業の社会的責任)とCivic Engagement(市民参画)をとり上げ、それが社会の再構造化の再帰的プロセスとして機能するための必要条件を解明する。
藤田 伸輔 千葉大学 医学部附属病院地域医療連携部 助教授 医療情報のユビキタスについての社会学的検討 検診や診療結果がいつでもどこでも参照でき、治療効果の高い医療を受けることが出来る医療情報のユビキタスについて、国民の合意の得られる方法での導入を検討する。
情報管理組織の経営基盤や法的規制、あるいは救急医療を必要としたときや大規模災害発生時等の情報利用の課題についての検討など具体的なケースを想定しながら、情報提供と意見の聴取、計画の改善をサイクルとして、その意義と問題点を社会的に検証する。

研究開発プログラム:「21世紀の科学技術リテラシー」
領域総括:村上陽一郎(国際基督教大学 教授)
代表者氏名 機関名 所属部署名 役職名 研究開発プロジェクト名 研究開発プロジェクト概要
大島 まり 東京大学 大学院情報学環 教授 先端研究者による青少年の科学技術リテラシー向上 最新の科学技術成果を結集した機器の利用とそれを支える科学技術の概念や法則の不理解といったいわゆる“科学技術のブラックボックス化”を対象に、具体的な例を用いて紐解くことにより青少年の工学リテラシーの向上を図る。これにより、日本の先端技術・製造業の発展を目指す。研究成果として、最先端工学の成果の初等・中等教育での活用のための、初等・中等教育プログラムの構築や教科書副読本の作成、産学が連携した科学技術リテラシー向上のためのシステムを提案する。
大塚 裕子 財団法人 計量計画研究所 言語情報研究室 研究員 自律型対話プログラムによる科学技術リテラシーの育成 従来の「啓蒙型」「一方向型」の情報伝達への反省と双方向的な科学技術コミュニケーションの重要性に対する認識から、進行役のいる援助型対話と知識・経験が非対称な参加者の対話を通じた自律型対話手法の確立を目指す。研究成果として、対話能力を基盤とする科学技術リテラシー育成のための、理科系・文科系の大学生を対象とした学習プログラムを提案する。また、既存の科学技術コミュニケーション手法の支援を通した科学技術リテラシー分野全体の発展、分野を超えた専門家と非専門家のコミュニケーション基盤の構築への展開を図る。
西條 美紀 東京工業大学 統合研究院 教授 科学技術リテラシーの実態調査と社会活動傾向別教育プログラムの開発 科学技術コミュニケーションにおける情報の受け手のニーズと受容能力に対する考慮が十分ではないという問題意識から、国民の科学技術リテラシーの実態調査、リテラシー構造のグループ化を行い、グループごとの教育プログラムを開発することをねらいとする。調査は、質問紙と行動分析を組み合わせて行い、被験者の社会における活動傾向と科学技術についての知識と意識を関連させてリテラシー構造を考える。研究成果として、参加者のリテラシーを踏まえた科学技術コミュニケーションの技法を開発する。
信原 幸弘 東京大学 大学院総合文化研究科 助教授 文理横断的教科書を活用した神経科学リテラシーの向上 神経科学に対する拡大解釈が広がりつつある現在において、一般市民の神経科学リテラシーと神経科学者の社会リテラシーを同時に向上させる基盤を確立することを目指す。そのために、神経科学者、科学哲学者、応用倫理学者の共同研究により神経科学の基礎理論とその社会的インパクトを扱った教科書やWEB教材等を作成し、その教育効果を検証する。これら一連のサイクルにより、神経科学リテラシーの長期的な向上を図る。また、同様の問題が見られる他の科学技術分野においても展開を図る。