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科学技術振興機構報 第356号

平成18年11月8日

東京都千代田区四番町5−3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(広報・ポータル部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

骨伝導能と骨誘導能を備えた脊椎補填人工骨を開発

(JSTプレベンチャー事業の研究開発成果を事業展開)

 JST(理事長 沖村憲樹)では、平成11年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスにつなげていくために、起業化に向けた研究開発を行うプレベンチャー事業を実施してきました。
 この度、平成15年度より開始した研究開発課題「組織融合性に優れた骨修復材料」の研究開発チーム(リーダー:小久保正 中部大学生命健康科学部 教授、サブリーダー:渋谷武宏)のメンバーが出資して、ベンチャー企業 アドバンスド・メディックス株式会社(代表取締役:小久保正、本社:京都市、資本金:450万円)を平成18年11月1日に設立しました。
 整形外科、脳神経外科、口腔外科などの分野では、高い機械的強度と優れた耐食性を示すチタン金属やチタン合金からなる人工関節、人工脊体、人工歯根などの医療機器が広く用いられています。しかし、これらの医療機器はそのままでは骨と直接結合しないので、生体内で長期にわたって安定な固定を保つとは云えません。
 本チームは、チタン金属およびチタン合金に骨と自然に結合する機能を付すことのできる生体活性化処理技術を開発しました。この生体活性化処理された金属は、簡単な水溶液処理と加熱処理によって表面のナノ構造が精密に制御されたことにより、生体内で短時間に骨類似アパタイト層を形成し、その層を介して骨と自然に結合します。さらにチタンポーラス体注1に本生体活性化処理を施したものが、生体内で高い骨伝導能注2骨誘導能注3を併せて発現することを明らかにし、世界で初めて骨伝導能と骨誘導能を備えたポーラスチタン製生体活性脊椎補填人工骨を開発しました。
 さらに本チームは、生体活性機能を有する酸化チタン微粒子を新規に創成し、骨セメント注4組成物に混合するだけで、高い機械的強度を示し、骨と結合する生体活性骨セメントを開発しました。本生体活性骨セメントは、現在人工関節を周囲の骨に固定するため広く用いられている骨セメントの大きな問題点と云われるゆるみの問題注5安全性の問題注6を同時に解消できる可能性を持っています。
 同社は、生体活性脊椎補填人工骨および生体活性セメントの実用化に意欲的な企業と提携し、本チームが保有する技術やライセンスを供与することで販売実績を挙げると共に、提携企業と共同でこれらの医療機器の実用化を目指します。
 今後は、本生体活性化処理技術を応用する医療機器の種類を広げ、事業の拡大を図ると共に、チタン系以外の金属に対する生体活性化処理技術も開発して事業展開を図り、平成21年度には年間1億円の売上を目指します。
 今回のアドバンスド・メディックス株式会社の設立により、当プレベンチャー事業および大学発ベンチャー創出推進によって設立したベンチャー企業数は55社となりました。

■用語解説
■製品例・実施例
■(参考)企業概要・事業形態

<本件お問い合わせ先>

アドバンスド・メディックス株式会社
〒487-8501 愛知県春日井市松本町1200
中部大学生命健康科学部生命医科学科
Tel&Fax:0568-51-6583
小久保 正(コクボ タダシ)

独立行政法人科学技術振興機構
産学連携事業本部 技術展開部 新規事業創出課
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松本 葵(マツモト アオイ)、米谷 雅之(ヨネヤ マサユキ)
TEL: 03-5214-0016 FAX: 03-5214-0017