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科学技術振興機構報 第350号

平成18年10月3日

東京都千代田区四番町5−3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

新しいバイオデバイス「シュガーチップ」を提供するベンチャー企業設立

(JSTプレベンチャー制度の研究開発成果を事業展開)

 JST(理事長 沖村憲樹)では、平成11年度より大学などの研究成果をベンチャービジネスにつなげていくために、起業に向けた研究開発を行うプレベンチャー事業を実施してきました。
 この度、平成15年度より開始した研究開発課題「シュガーチップの実用化」の研究開発チーム(リーダー:隅田泰生 鹿児島大学大学院理工学研究科教授、サブリーダー:西村知晃)のメンバーが出資して、ベンチャー企業 株式会社スディックスバイオテック(取締役:隅田泰生、本社:兵庫県神戸市、資本金2,025万円)を平成18年9月21日に設立しました。
 私たちの細胞の表面には、糖鎖と呼ばれる多様性に富んだナノメーターのスケールの大きさをもった鎖状の糖が存在しています。糖鎖は、特定の蛋白質と、または糖鎖同志とが互いに作用し、細胞へ情報を伝達することで、免疫などの生体反応に関与しています。また細胞の癌化やウイルス感染などにも関係することが分かってきたことから、ライフサイエンス分野における次世代ポストゲノム研究として、糖鎖科学が注目されています。しかし、分子レベルの研究には必須である構造が明確な糖鎖の確保には多大な労力と費用が必要となり、研究を進めることが出来ない事が多々あります。
 本チームでは、この問題を解決し、糖鎖科学研究を飛躍的に進めるために、構造が明確な糖鎖をナノメータースケールで金属(金)に固定化したバイオデバイス「シュガーチップ」および「糖鎖固定化金ナノ粒子」を開発しました。
 「シュガーチップ」とは、ガラス板などにコートされた金薄膜表面上に糖鎖が固定化されているチップの総称であり、SPR注1QCM注2などの測定用のセンサーチップに使用されます。その大きさは、用いる装置によって異なりますが、大体1平方センチぐらいのものです。本チームは、ヘパリンなどの多糖も含めて、すでに50種類以上のシュガーチップライブラリーを有しております。シュガーチップを用いた解析法では、ウイルスやタンパク質などの解析対象物を標識注3することなく、糖鎖との相互作用をリアルタイムで測定できるため、従来の糖鎖アレイ法注4に比べて、廉価かつはるかにスピーディーに研究を進めることができるとともに、ハイスループット解析注5にも応用可能です。
 またシュガーチップを作製するために用いた技術を応用し、糖鎖固定化金ナノ粒子注6も開発しました。これは特別な装置を必要とせず、糖鎖との相互作用を目視で検出できるため、研究用以外にも、ベッドサイドや救急医療の現場、農場や畜産場などにおいて、簡易検査・診断ツールとして用いることができます。
 同社は、製薬・食品メーカーや公的研究機関等にこれらの製品を販売するとともに、これまでに本プロジェクトで培った相互作用の解析技術およびデータベースを用いて、受託研究事業としても展開し、平成21年度には年間1億円の売上を予定しています。また、検査・診断分野に向けた研究開発をさらに進め、平成24年度に株式上場を目指しています。
 今回の株式会社スディックスバイオテックの設立により、当プレベンチャー事業および大学発ベンチャー創出推進によって設立したベンチャー企業数は52社となりました。
■用語解説
■製品例・実施例
■企業概要

<本件お問い合わせ先>

独立行政法人科学技術振興機構
産学連携事業本部 技術展開部 新規事業創出課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5-3
松本 葵(マツモト アオイ)、米谷 雅之(ヨネヤ マサユキ)
TEL:03-5214-0016 FAX:03-5214-0017

株式会社スディックスバイオテック
兵庫県神戸市中央区港島南町5-5-2 神戸国際ビジネスセンター461号室
担当:隅田 泰生(スダ ヤスオ)、西村 知晃(ニシムラ トモアキ)
TEL:078-303-7855 FAX:078-303-7856