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<用語解説>

注1) リガンドと受容体:
リガンドとは機能蛋白質に特異的に結合する物質と定義されますが、ここでは細胞膜表面に存在する受容体膜蛋白質に対して特異的に結合する細胞外分子を指します。細胞表面にある受容体とリガンドはいわば鍵穴と鍵の関係にあります。鍵穴の受容体に鍵であるリガンドが結合すると、受容体はそれを何らかの信号に変換して、細胞内へその信号を送ります。

注2) てんかん:
脳神経細胞の過剰あるいは無秩序な興奮によって反復性のけいれんや意識消失等の発作が生じる疾患の総称で、日本では約60-120万人がてんかんを持っていると推測されます。

注3) AMPA型グルタミン酸受容体:
興奮性の神経伝達物質グルタミン酸の受容体の1つで、それ自体がNaイオンを透過させるイオンチャネルとして機能します。また、AMPA受容体は外界刺激によりシナプスにおける発現量が大きく変化すること、および興奮性シナプス伝達の中心的役割を果たすことからシナプス可塑性の根幹をなす分子としてその制御機構は世界中の注目を集めています。

注4) 足場蛋白質PSD-95の動態制御機構:
PSD-95はポストシナプスにおいて様々な膜蛋白質を裏打ちしてシナプス膜蛋白質の局在を規定するシナプスの屋台骨となる蛋白質です。したがって、このPSD-95のポストシナプスへの輸送および動態を制御するメカニズムはシナプス形成や機能を理解する上で極めて重要です。最近、PSD-95のポストシナプスへの局在がパルミチン酸と呼ばれる脂質と結合したり、離れたりすることにより制御されることが分かってきました。

注5) Stargazin(スターゲージン):
Stargazinはけいれん発作を示す自然発症モデルマウス(スターゲーザー・マウス)の原因遺伝子として見つかった蛋白質で、AMPA受容体の局在や活性を制御します。けいれん発作を起こしたマウスの姿勢が星(star)を見つめる(gaze)姿勢に似ていることからスターゲーザーマウスと名付けられました。

注6) ノックアウトマウス:
ある特定の遺伝子を人為的に欠損させた遺伝子組み換えマウス。ある遺伝子が個体レベルでどのような機能を担っているかを解析するために用いられます。