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<用語解説>

(注1)光アイソレータ:
光を一方向にのみ伝搬させる光素子です。半導体レーザは光伝送路からの反射戻り光を受けると動作が不安定化するため、半導体レーザからの光は通し、光伝送路からの反射戻り光を遮断する必要があります。この動作をもたらす素子が光アイソレータです。従来の光アイソレータは磁性ガーネットと呼ばれる酸化物の結晶と二枚の偏光子からなり、自由空間で用いられる素子です。「半導体導波路光アイソレータ」注2も参照。

(注2)半導体導波路光アイソレータ:
レンズや偏光子などのように自由空間で用いる光学素子とは異なり、半導体基板上に屈折率の高いコア層と屈折率が低いクラッド層を積層・形成し、光のレンズ効果(屈折率が高い層へ光が集中する現象)を用いて、光を導く(導波する)のが半導体導波路です。大多数の通信用半導体レーザが半導体導波路構造を用いています。本研究の光アイソレータも半導体導波路構造をとっており、半導体レーザとの一体集積化に適しています。

(注3)非相反性:
光アイソレータのように、物質から受ける効果が光の伝搬方向(前向きか後ろ向きか)によって異なる現象を総称して「非相反性」と呼びます。光が磁性ガーネット結晶を伝搬する際、磁気光学効果によって偏波面が回転します。光の伝搬方向と磁性ガーネットの磁化の向きが平行か反平行かによって偏波面の回転方向が異なる「ファラデー効果」が最も有名です。反射配置の場合を「磁気光学カー効果」と呼びます。

(注4)分布帰還型半導体レーザ:
導波路内に屈折率・光利得の周期構造が回折格子のように形成された共振器(分布帰還型共振器)を用いた単一波長で発振する半導体レーザです。長距離・高速光伝送用途の高性能半導体レーザとして広く用いられています。

(注5)消光比:
光アイソレータにおける消光比とは、前向きの光が受ける伝搬損失と後ろ向きの光が受ける伝搬損失の比のことです。この割合が高いほど、光アイソレータとしての性能が優れていることになります。