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科学技術振興機構報 第333号

平成18年9月4日

東京都千代田区四番町5-3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(総務部広報室)
URL https://www.jst.go.jp

「長時間動画キャプチャ機能を有する高速ビジョンシステム」を開発するベンチャー企業設立

(JST大学発ベンチャー創出推進の研究開発成果を事業展開)

 JST(理事長 沖村憲樹)は、平成15年度より大学などの研究成果をベンチャービジネスにつなげていくために、起業化に向けた研究開発を行う大学発ベンチャー創出推進事業を実施してきました。
 この度、平成17年度より開始した研究開発課題「長時間動画キャプチャ注1機能を有する高速ビジョンシステムの開発」(開発代表者:石井抱(国立大学法人広島大学 助教授)、起業家: 松田久仁子)のメンバーが出資して、ベンチャー企業 株式会社アイアイラボ(代表取締役: 石井抱、本社:広島県東広島市、資本金300万円)を平成18年7月3日に設立しました。
 これまでに開発されたビデオ信号(フレームレート注230fps)を超える高速ビデオカメラの多くは、専用バッファに一時的に画像を蓄積し、撮影終了後に画像を外部出力するため、バッファ容量に、限定された時間でのオフライン動画像解析しかできない問題があり、製造工程における機器のオンライン動画像解析による検査などが困難でした。
 本チームは、この問題を解決するために、光としての画像を電気に変換するイメージャ上から、コマ画像に分割して、各コマ画像に対して対象物に係わる必要な部分だけを分割画像領域として抽出する「知的画素選択」により、画像転送・処理を高速化する独自な手法を導入することで、不具合部分の形状などをフレームレート1000fpsレベルで実時間計算し、長時間動画キャプチャを同時実現する高速ビジョンシステムの開発に成功しました。
 本システムは、従来に比べて高速フレームレートでのオンライン動画像解析を、長時間連続で行うことが可能となり、電子機器製造工程、金型プレス加工工程などの検査用機器や、刻々変化する細胞を観察する機器など、バイオ分野の先端計測システムにも利用でき、様々な産業分野で広く普及します。
 株式会社アイアイラボでは、今後、この高速ビジョンシステム用のカメラヘッドやそれを用いた長時間動画キャプチャ記録装置のサンプル販売を行います。また、画像を利用するマシンビジョン分野、バイオ分野などの多岐にわたるユーザーの要望に対応して、高速ビジョンシステムのカスタマイズに関する受託研究開発、技術コンサルティングを行うことにより、広島大学の石井抱助教授を中心としたグループが有する「高速ビジョン技術の研究成果・ノウハウ」の社会還元を積極的に行います。これらの事業を合わせて,株式会社アイアイラボでは平成21年度までに年間1億円の売上を目指します。
 今回の株式会社アイアイラボの設立により,プレベンチャー事業および大学発ベンチャー創出推進によって設立したベンチャー企業数は49社となりました。
製品例・実施例
企業概要

<用語解説>
注1) キャプチャ:
ビデオデッキなどの映像機器から、映像と音声をデジタルデータとしてコンピュータの中に取り込むこと。
注2) フレームレート:
動画の再生において、1秒間に何回画面を書き換えることができるかを表す指標。
単位はfps(frame per second)。

<本件お問い合わせ先>

独立行政法人 科学技術振興機構
産学連携事業本部 技術展開部 新規事業創出課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5-3
米谷雅之(ヨネヤ マサユキ)
TEL: 03-5214-0016 FAX: 03-5214-0017

株式会社 アイアイラボ
代表取締役社長 石井 抱(イシイ イダク)
〒739-2115 広島県東広島市高屋高美が丘6丁目4-16
TEL/FAX: 082-439-2314 e-mail: