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<用語解説>

注1)レーザー直接描画:
プリント基板等の微細回路パターンの形成において、銅貼積層基板等にレジスト(感光材料)を塗布し、これに、回路パターンの原版であるフォトマスクやシルクスクリーンを重ねて一括露光し、レジスト内にパターンの潜像を焼付け・描画し、これを現像したものを、エッチング処理し、不要な金属を除去して、所定の回路パターンを形成する手法(光リソグラフィ)が用いられてきた。これに対して、テレビのブラウン管の電子線走査の原理に似て、コンピュータに蓄積された原画データに基づき、照射位置とタイミングを制御されたレーザービームを、露光面上に線状に走らせ(走査)、画像パターンの直接焼付けを行う方式。

注2)光リソグラフィ:
パターン加工対象面に、感光性の液体レジストを塗布するか、レジスト膜を貼り、露光、現像、エッチング、レジスト剥離の工程を経て、回路パターンの形成などを行う加工方法。類似技術に、半導体回路の製造における電子線リソグラフィ技術がある。

注3)フォトマスク:
光リソグラフィにおいて、光を遮るために使用される描画パターンの原版。高精度に微細加工したもので、価格が高いため、量産以外の使用目的には不向き。

注4)単一ポリゴン方式:
レーザー直接描画システムにおいて、一台のポリゴン走査ユニットを用いて、大面積露光を行う方式。加工対象物を載せた機械ステージを、露光レンズに対して相対的に、長い距離にわたって移動させ、大面積露光を行うもの。 多数のポリゴン走査ユニットを用いて分割描画するマルチポリゴン方式と比較して、全体の描画時間が長い。

注5)ポリゴン走査ユニット:
レーザー直接描画システムの根幹部分で、コンピュータから送られる原画のデジタルデータに対応して、レーザー光を、高速回転する多角面鏡(ポリゴンミラー)でタイミングを合わせて反射させ、所定の位置・方向に分散させ、露光レンズを介して、描画対象面に入射するための装置ユニット。ポリゴン走査ユニットには、レーザー光源を内蔵した方式と、光ファイバーを介して、外部のレーザー光源から光を導く方式がある。

注6)シュリンクフィッタ:
(商品名)。レンズシステムの鏡筒内への焼き嵌め固定に使用する環状の樹脂部品。一般的に、レンズ系は温度変化によって、レンズ間に偏心が生じ、レンズ周辺部でビーム幅が太くなる傾向があるが、適切に設計したシュリンクフィッタを用いれば、広い温度範囲にわたり、レンズ系の偏心を防止し、投影面全域でビーム径を均一に保つことができる。

注7)テレセントリック:
前焦点に開口絞りを置いたレンズの形態。レンズを通過した主光線は像空間で光軸に平行となり、寸法誤差が少なく、焦点深度が深い。

注8)fθレンズ:
レンズを通過して投影面に垂直入射する光スポットの走査速度が、レンズへの入射位置によらず、常に一定になるように設計したレンズ。