JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第324号 >用語解説

<用語解説>

注1)ホメオスタシス: 生体の内部環境の恒常性を示す言葉です。例えば、人などの恒温動物で体温が一定に保たれていることを指します。恒温動物では、外界の温度に合わせて体温が変化してしまうことは非常に不利であり、そのように体内の環境を一定にしておくことは、生命の維持のために本質的なことです。

注2)アドヘレンスジャンクション(AJ): 主に上皮細胞で形成され、上皮細胞同士が強く接着して体の内外表面をおおう上皮細胞シートを作るときに要となる接着構造体です。細胞表面に存在する糖蛋白質の一種であるカドヘリン分子が、細胞内のアクチンフィラメントよりなる細胞骨格構造と連結することにより、強い接着構造となります。

注3)タイトジャンクション(TJ): 上皮細胞間に形成され、この形成により細胞間の物質ないしイオンの漏れが完全に抑えられます。(図1)にあるように、細胞膜の一部が融合して、完全に物質ないしイオンが通らなくなります。しかしながら、最近の研究では、特定の物質ないしイオンの透過性が確認されています。

注4)クローディン: タイトジャンクションの構成蛋白質として同定された蛋白質であり、24種類のサブタイプが知られています。

注5)オクルーディン: タイトジャンクションの構成蛋白質として同定された蛋白質です。クローディンと異なり、サブタイプは知られていません。

注6)極性形成: 組織、器官、個体の向きを示す用語です。個体に、頭側と足側があるとすると、細胞、組織、器官にもそれに対応して向きがあり、その向きが正しく保たれることは個体形成において重要です。