JSTトッププレス一覧 > 科学技術振興機構報 第313号
科学技術振興機構報 第313号

平成18年7月13日

東京都千代田区四番町5-3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(総務部広報室)
URL https://www.jst.go.jp

ウェアラブルPC「低視力用網膜投影電子めがね」を開発するベンチャー企業設立

(JSTプレベンチャー制度の研究開発成果を事業展開)

 JST(理事長 沖村憲樹)では、平成11年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスにつなげていくために、起業化に向けた研究開発を行うプレベンチャー事業を実施してきました。
 この度、平成15年度より開始した研究開発課題「低視力用網膜投影電子眼鏡」の研究開発チーム(リーダー:志水英二(宝塚造形芸術大学大学院 教授)、サブリーダー:小林勝)のメンバーが出資して、ベンチャー企業 株式会社ウエアビジョン(代表取締役: 小林勝、本社:兵庫県西宮市、資本金1000万円)を平成18年6月2日に設立しました。
 本チームが開発した電子めがねは、自然視と異なり焦点深度が非常に深いため、目の角膜と水晶体による調節力に関係なくハッキリした映像が網膜上に結像され、また非常に明るい視野の刺激が広視野で得られるといった特徴があります。また加齢や糖尿病などによる視力や視野の衰えに対しても、かなりの割合で効果があることが大阪市立大医学研究科との共同研究の結果や、本チームが実施したモニターテストなどで明らかとなっております。
 株式会社ウエアビジョンでは、ピント合せの不要な網膜投影技術を中心に小形化・軽量化・高画質化への取り組みを継続し、両眼モデルの研究開発と3D(立体視)への応用など、視力障害をお持ちの方だけでなく一般高齢者の方に対しても商品企画の対象を広げて参ります。さらに将来のユビキタス社会実現に期待されるウエアラブルコンピューターの視覚支援コンポーネントやその応用システムの開発など、情報機器ベンダーとも積極的に開発提携しながら、3年後売上げ1億円突破を目指し高齢化時代のユビキタス福祉社会への貢献を果たして参ります。
 今回の株式会社ウエアビジョン設立により、当プレベンチャー事業および大学発ベンチャー創出推進によって設立したベンチャー企業数は48社となりました。

<本技術の背景>

 弱視(矯正視力0.3未満)や視野が狭いなど何らかの視覚障害を持ち、ある程度は見えても生活に支障を来す状態をロービジョンといい、現在わが国では約100万人、米国では500万から700万人いると言われております(日本ロービジョン学会調査など)。これらの人達は矯正メガネを用いても十分な視力が得られないため、電車の時刻表を離れた位置からでは読めなかったり、バスが近づいても行き先が見えず、テレビ観賞も目前に近づけなければ映像が見えないなど様々な苦労を強いられております。
 網膜投影電子眼鏡(以下電子めがね)とは、カメラやテレビのビデオ信号を、映像制御回路を介して一旦小型液晶パネルに映像を呈示し、その映像を瞳孔内に光を収束させ網膜上に直接投影する光学系を実現させた視覚支援眼鏡のことで、その実用化のための実装技術を研究開発し、製品化するに至りました。

<本技術の内容>

 本チームが開発した電子めがねは、自然視と異なり焦点深度が非常に深いため、目の角膜と水晶体による調節力に関係なくハッキリした映像が網膜上に結像され、また非常に明るい視野の刺激が広視野で得られるといった特徴があります。つまり、角膜や水晶体などによるピント合せが不要なため、屈折・調節異常を患っていてもハッキリした映像を見ることができます。また加齢や糖尿病などによる視力や視野の衰えに対しても、症状の程度によって個体差がありますが、かなりの割合で効果があることが他機関との共同研究の結果や、本チームが実施したモニターテストなどで明らかとなっております。さらにコントラストや明るさ調整機能、遮光フィルター装着や白黒反転機能を持っているため、通常光の下で字を見ても羞明(しゅうめい:まぶしく感じること)を感じる人に対してもその人の目に応じた使い方が可能です。

<今後の展開>

 株式会社ウエアビジョンでは、ピント合せの不要な網膜投影技術を中心に小形化・軽量化・高画質化への取り組みを継続し、両眼モデルの研究開発と3D(立体視)への応用など、視覚障害をお持ちの方だけでなく一般高齢者の方に対しても商品企画の対象を広げて参ります。さらに将来のユビキタス社会実現に期待されるウエアラブルコンピューター(身体に着用できる小型コンピューター、胸や肩・腰に装着するものや配線と共に織り込んだ服型、腕時計型など)の視覚支援コンポーネントやその応用システムの開発など、情報機器ベンダーとも積極的に開発提携しながら、3年後売上げ1億円突破を目指し高齢化時代のユビキタス福祉社会への貢献を果たして参ります。

 今回の株式会社ウエアビジョン設立により、当プレベンチャー事業及び大学発ベンチャー創出推進によって設立したベンチャー企業数は48社となりました。
製品例・実施例
企業概要

<本件お問い合わせ先>

独立行政法人 科学技術振興機構
産学連携事業本部 技術展開部 新規事業創出課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5-3
米谷雅之(ヨネヤ マサユキ)
TEL:03-5214-0016 FAX:03-5214-0017

株式会社ウエアビジョン
[本  社] 〒662-0023 兵庫県西宮市城山2番12-306号
[事業所] 〒550-0002 大阪府大阪市西区江戸堀1-6-13 肥後橋堀田ビル601
代表取締役 小林 勝(コバヤシ マサル)
TEL:06-4803-8617 FAX:06-6441-1748